四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『論理力を高める』

2023.09.13

問 次の四人のうち、ウソをついている人をすべて選びなさい。
太郎「四人の中にウソつきは一人います」
次郎「いやいや、ウソつきは二人だよ!」
三郎「そんなことあるかよ!三人のウソつきがいるさ」
四郎「とんでもない!全員ウソつきじゃないか」


いかがでしょうか、パッと思いつきますでしょうか。実は、先日実施させていただいた「小3算数チャレンジ講座」の導入問題です。


「今日の授業はいろいろ考えていく問題にチャレンジするから、みんなは「名探偵」になって、頭を働かせてね」というところからスタートしました。「ボクはコナンくんになる!」「シャーロックホームズ!」、そんな元気な声が聞こえる中で、考えさせたのが前述の問題です。


まず、ちょっと考えれば、四郎がウソをついているのはわかるでしょう。この言葉がウソでないとするならば、そこには大きな矛盾が生じてしまいます。そこから、「じゃあ、太郎が言っていることがホントだとすると……」というように、一人ずつを検証していく方法もあるのですが、この問題は「あること」に気がついてしまえば一気に正解にたどり着きます。「全員が言っていることが違う」というポイントです。つまり、その中には「一つしかホントはない」ということになるわけです。


「小3算数チャレンジ講座」のリーフレットには、「深い論理の世界を楽しむ!」という言葉が添えられています。「小学3年生に論理学?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。数学で論理について学ぶのは、高校に入ってからです。数学Ⅰで「集合と命題」という単元を学んだ記憶がある方もいらっしゃるかもしれません。「命題」「対偶」「仮定・結論」「真・偽」などといった用語が出てきた単元です。もちろん、そういった「論理学」を小学3年生に教える講座ではありません。では、「論理の世界」ってどういうことなんだろう、そんな風にお考えになるかもしれません。


新しくなった高等学校の「学習指導要領」では、いままでの「現代文」が「論理国語」と「文学国語」に分かれています。ここでも「論理」という言葉が使われているのですが、国語における「論理」と算数・数学における「論理」は少し違うように、私はとらえています。説明的文章(説明文・論説文)を読み取り、そして自分の意見を筋道立てて説明できると、「論理的」と表現されるのが国語的な感覚です。一方で、算数の「論理力」を考えると、単に「筋道が立っている」だけではなく、「『必ずそうなる』という正解」に行き着くことが必要になってくるのです。そして、その思考過程において「回り道」をすることなく、合理的な手順で「正解」まで行き着くことができるような考え方というのが、算数・数学における「論理力」に対する私のイメージです。


もう一つ、先日扱った問題をご紹介いたしましょう(表現は大人向けに変えています)。


「見た目では区別できない三つの球があり、そのうちの二つは同じ重さ、一つだけ重くなっています。てんびん秤を使って、重い球を見分けるためには、最低何回の操作が必要ですか」


この問題は難しくないでしょう。答えは「1回」です。三つのうちの二つを秤に乗せて、片方に傾けば「重い球」がわかります。もしつりあえば、残りの一つが重い球だと判断できるわけです。この問題は参加していた生徒の半数以上がすぐにわかりました。そこで次の問題に進みます。


「見た目では区別できない九つの球があり、そのうちの八つは同じ重さ、一つだけ重くなっています。てんびん秤を使って、重い球を見分けるためには、最低何回の操作が必要ですか」


全体の数が「三つ」から「九つ」に変わりました。変わったのはそれだけです。いかがでしょうか、記事をお読みになっていらっしゃる皆様も少しお考えください。この問題に正解できた生徒は20名の参加者の中で、二人でした。


正解は「2回」です。
「三つ」の問題の思考方法を応用すれば、簡単に「正解」にたどり着くことができます。まずは九つの球を三つのグループに分けて、そのうちの二つのグループを(三つずつ)秤に乗せます。これで、どのグループに重い球が入っているのかがわかるでしょう。そこからはもうおわかりいただけると思います。


こんな問題を扱ったのですが、生徒たちはとても楽しそうに参加してくれました。90分の授業時間だったのですが、「えっ?もう終わり?もっとやりたい!」と、みんな言ってくれました。「次は10月だから、待っているよ」と話して授業を終了いたしました。


ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。来月も「名探偵」になってもらえる問題を用意してお待ちしております。

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