『Google社の入社試験問題 ~論理力を高める②~』
2023.09.15
「Google社の入社試験問題」が一時期話題になったことがあります。Googleだけではなく、Microsoft社やApple社の入社試験問題も「面白い」と言われ、インターネットでさまざま公開されています。私も興味があっていろいろと見てみたのですが、前回の記事で書かせていただいた「論理力」につながる問題が多く、自分でも考えてみたり、生徒たちに話してみたりしました。いくつかご紹介させていただきましょう。
水が「5L入る容器」と「3L入る容器」が一つずつあります。この二つの容器を使って、4Lの水を正確に計る手順を答えなさい。
Microsoft社の入社試験問題です。前回、「小3算数チャレンジ講座」で扱った「てんびん秤」の問題と似ていますよね。いかがでしょうか、少しお考えになってみてください。
正解は以下の通りです。 手順①→5Lの容器に水を入れる。 手順②→5L容器から、3L容器に3Lを移す。5L容器には2Lが残る。 手順③→3L容器の水を捨てる。 手順④→5L容器から、3L容器に水をすべて(2L)移す。 手順⑤→5L容器に水を満たす。 手順⑥→5L容器から、3L容器に1L移す。ここで5L容器には4L入っている。
ポイントになるのは、手順③で「水を捨てる」というところでしょうか。考える切り口となるのは、「4Lを正確に計る」わけですから、最終的に「5Lの容器の中に、4L分の水が入っている状態を作る」というところから考えていくのがよいでしょう。そのためには、1リットルの水を計ることが必要になり……という論理の展開です。
GLAT(Google Labs Aptitude Test)というものを以前見たことがあります。「Google研究所適性テスト」として公開されていたものです。その中に次のような問題がありました。
1 11 21 1211 1112211 ( ) 6段目に入る数字の列を答えなさい。
数列の問題のように見えますが、よく知られている数列の規則を当てはめても考えることはできません。私も初めて見る規則でした。正解は、上にある数字の「個数+その数」を下の列に書くという規則になっているのです。たとえば「8」という数字を「1個の8」と言葉で表して、その順に記載をすると「18」となります。この規則で考えてみてください。上の問題の5段目には「111221」となっていますので、「3個の1+2個の2+1個の1」となりますので、答えは「312211」となるわけです。
実は、この問題とまったく同じ規則が中学受験で出題されたことがあります。2021年の都立小石川中等教育学校の適性検査Ⅲの大問[2]です。公立中高一貫校ですので、算数・国語といった科目試験にはなっておらず、「適性検査」として出題されています。適性検査ではよくある出題形式で、先生と生徒の会話形式でこの規則が紹介されていきます。そしてこの規則にしたがっていろいろと考えていったときにどうなるのか、という設問が続くのです。[問題1]では、この規則を1ケタの整数に何回か当てはめて出てきた、56ケタの整数「311311222……(省略)……23222112」が出題され、もとの1ケタの整数を答えさせる問題が出題されていました。さらにその「理由」も記述させる形になっています。もちろん、問題には(省略)とした数字もすべて書いてありますが、そこはなくても解ける問題です。そして「理由」も比較的簡単に記述できます。
さらに問題は続き、[問題2]では2ケタの整数にあてはめた場合、4ケタの整数にあてはめた場合を考えさせる問題が出てきます。そして[問題3]では「この規則を1から始めて繰り返した場合には、4という数字が現れない理由」が問われていました。上記に紹介したGLATの問題を数段階発展させた、かなり論理的に考えさせる問題だと思いました。
「論理的に考えさせる問題」を調べていくと、やはり単に「解き方を覚える、それを適用し、正確に処理をする」という学習だけではなく、「書かれていることをしっかりと理解し、それに沿ってその場で考える」という思考方法を育てていくことが大切だということを改めて感じます。皆様もよろしければ、Google社の入社試験問題を検索してみてください。
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