『熱戦!』
2024.07.31
パリではオリンピックで、そして早稲田アカデミーの各教室では講習会の授業で、「熱戦」が繰り広げられています。そして、毎年の「夏の熱戦」といえば「甲子園」ではないでしょうか。昨年の夏の高校野球(正式名称:全国高等学校野球選手権大会)では、計3482試合がライブ配信され、「単一スポーツチャンピオンシップをプラットフォームでライブストリーム配信した最多試合数」としてギネス世界記録に認定されたというニュースを見ました。
「全3482試合が行われたトーナメント大会には、全部でいくつのチームが参加していたでしょう」という算数の問題になりそうです。答えは簡単です。「3482+1=3483」という計算で、3483チームが参加していたことがわかります。トーナメント方式は別名「ノックアウト方式」「勝ち抜き戦方式」と呼ばれることもあるように、試合が一つ行われると敗者が一人(1チームずつ)脱落していき、最終的に「一度も負けなかった勝者」が優勝となるわけです。ですから、全試合数に一度も負けなかった1チームを足した数が、参加した全チーム数となるわけです。
こう考えると、甲子園で優勝するチームの「凄さ」がわかる気がします。全国3483のチームの中で、6月から始まり8月後半の最終戦まで、1度も負けなかった唯一のチームとなるわけですから。一方で、実は優勝校以外のすべてのチームを考えてみると、そのすべての学校で「負けた回数は1回」ということになります。地方予選の初戦で敗退したチームと、甲子園の決勝で負けたチーム(準優勝校)の間には、もちろん勝利数の違いはありますが、負けた回数だけを考えると、どちらも「1回」なのです。この1回の敗戦は球児たちの(特に高校3年生にとっては)「心に残る敗戦」なのではないでしょうか。
昨年夏の「甲子園」は神奈川県代表の慶應義塾高等学校が、全国優勝を果たしました。早稲田アカデミーからの進学者が多い学校の一つです。野球部の選手の中にも、アルプススタンドで声援を送っていた生徒の中にも、元早稲田アカデミー生がいたことでしょう。数年前の女子生徒で、夏の甲子園大会のスタンド席でチアリーダーとして応援したいという想いから、志望校を早稲田実業学校高等部に決めた生徒がいます。西東京の決勝戦が日曜日(7月28日)に行われ、早実がサヨナラで甲子園出場を決めたというニュースを見ました。
コロナ禍の2020年、夏の甲子園大会が中止になりました。高校野球の「甲子園大会」は、日本において高校生スポーツの象徴のように取り上げられるので、そのときには中止も大きく報道されましたが、この年には、インターハイも、吹奏楽部や合唱部のコンクールなども中止になり、目指してきた「目標」や「夢」が失われてしまった高校生が多くいました。
「目標があるからこそがんばれる」というのは、どの世界でも同じことだと思います。中学受験という目標に向かって日々学習する小学生も、甲子園という目標に向かって練習を続ける高校球児も、その「がんばる」気持ちの原点は同じもののはずです。その目標をいきなり奪われてしまった高校3年生の心の中の「喪失感」を考えると、本当にかわいそうに感じたのを覚えています。ある高校の野球部監督がテレビで「どんな状態でも挑戦だけはさせてやりたかった……」とおっしゃっていたのを覚えています。
受験生の保護者の皆様と「志望校選定」に関する面談をさせていただくときに、私はよく「第一志望の学校をあきらめることはやめましょう」という話をいたします。入試直前期になると「成績的にはこちらの学校の方が可能性は高いのではないか」というご相談をいただくことがあります。第一志望校と同じ日程での受験の場合などは、「第一志望校をあきらめて」というお考えになる場合もあります。ただ、そのときには「いままでそこに向けてがんばってきたものを、受験する前にあきらめるのはおすすめしません」という話をさせていただいています。もちろん、お子様の気持ちやご家庭の方針などを考えながらのことなので、すべてではないのですが。ずっとあこがれていた「夢」「目標」にチャレンジしてはね返されたという経験は、一時的な「挫折」にはなるかもしれませんが、きっとその先につながる経験になると私は思います。もちろん入試で不合格になることがよいという意味ではありません。ただ、チャレンジする前にその目標を「あきらめてしまったり」「うばわれてしまったり」というときは、「くやしさ」「情けなさ」しか残らないようにも思うのです。
早稲田アカデミーは「本気でやる子を育てる」という教育理念のもと、お子様方の指導にあたらせていただいております。その「本気・やる気」をつくっていくための一つの要素として、「大きな目標」があります。「目標」に向かって真剣に取り組んでいく中で、辛さを感じる場面もあるでしょうし、挫折しかけることもあるでしょう。しかし、その一つひとつを乗り越える中で、お子様方は成長し、「大きな夢」をつかむことができるのです。
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