四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『文章をどう読むか ~読解力を高めるための「読み方」~』

2019.03.13

小学校3年生の国語の授業で、「文章を読み聞かせる」ことがあります。「文章内容がどれくらい頭の中につくり上げられるか」を確認するために、「読み聞かせ」という手法はとても効果があるのです。あえて、テキストは閉じさせたまま、しっかり聞かせることで「授業を受けるときの集中力を高める」という効果もあります。


国語の読解力の基本は、文章に書かれている内容を理解することです。そして文章内容を理解するためには、頭の中で文章を組み立てることが必要になります。実は、問題を解くために読むという意識が強くなってしまうと、頭の中に文章の全体像を構築する前に、「答えを書こう」という気持ちが先に立ってしまって、この部分がおろそかになってしまう場合があります。それが高学年になって、国語が苦手になってしまうケースの原因となることもあるのです。


物語の「読み聞かせ」の目的は、生徒に細かい部分よりも「あらすじ」を理解させることにあります。特に小3・小4くらいまでは、細部よりも全体をとらえる思考を養う時期です。ご家庭でも、物語を読み聞かせたあとで、登場人物やあらすじについていろいろと質問をすると、文章内容がどれくらい理解できているかを試すことができるはずです。


では、自分で文章を読むときには「音読」と「黙読」のどちらがよいのでしょうか。「音読」にはさまざまな効果があります。文章を読むことに集中できる、声を出すことで元気になりやる気も生まれる、物語の会話文などは感情をこめて音読することで心情理解につながる……などです。特に、自分の声を自分で聴くことで、ただ目で追いかける「黙読」より集中できるので、脳が活性化するとよくいわれます。そして音読がうまくできるようになれば、文章を読むことそのものにも自信が生まれるはずです。さらに保護者の皆様が聴くことによって、思わぬ「つまずき」などに気が付くというメリットもあります。国語が苦手な生徒が「音読」をすると、助詞(て・に・を・は)を間違えることが多いのですが、それを矯正していくと、国語の成績が上がっていくことがあります。


一方で、気を付けなければならないのは「音読」をしているときに、「正しく読む」ことだけに注意が向いて、字面だけを追いかけてしまい、文章内容の理解にまで至らないということがあります。その点に関しては、音読をさせたあとに、何が書いてあったかを確認してみるとわかります。同じような文章を読み聞かせたときと比較して、理解度が低くなってしまうことが往々にしてあります。文章全体をしっかりと理解するという読解力向上だけを考えると、「音読」より「読み聞かせ」の方が効果的な場合があります。


最終的にはもちろん「黙読」をして、文章全体を頭の中に構築し、さらに細部にも注意が払えるような読み方が必要になってきます。黙読をしているのに、頭の中では音読をしていて、その結果最後までいっても何にも頭に残っていない、そんな読み方にならないようにしてあげなければなりません。そのためには、いまお子様がどのように文章に触れているかを確かめて、その段階で一番効果的な読み方をさせていくことが大切なことなのだとお考えください。

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