四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『中学受験国語の学習法②』

2021.06.23

中学受験へ向けた「国語学習」についての第2回目です。前回は文章問題の指導は、「解法指導」と「読解指導」という二つに大きく分けると書かせていただきました。私は、低学年から中学年にかけては「読解指導」を中心に授業を行っているとお伝えしたのですが、今回はその「読解力」について。


「読書を全然しないので、読解力がなくて……」、よくいただくご相談です。では、そもそも読解力とはどのような力なのでしょうか。読解力とは文字通り「文章を読んで理解する力」ということになるのですが、そこにはさまざまな構成要素があります。わかりやすく言えば、「読解力」というひとつの力があるわけではなく、いくつもの力が重なって、文章を理解することができるようになるというイメージです。「文章を読んで理解することができない=読解力が不足している」というように大括りに考えるのではなく、「なぜ理解できないのか」というところから、お子様の文章理解力(読解力)をお考えいただくのがよいのではないでしょうか。


読解力を細かく分けていったときに、まず必要になるのが「語彙力」です。小学生が文章をしっかり理解できない大きな要因として、「使われている言葉が分からない」という点が挙げられます。言葉の意味がわからなければ、書かれている文章の意味を理解するのは、当たり前ですが無理な話です。


さらに私は、「言葉に関して想像して推測する力」も語彙力のひとつと考えています。単純に「言葉を知っている」だけではなく、前後の文脈や漢字の字面から、「言葉の意味を推測して」読み進めることもできなければいけません。この言葉を推測していく力が伸びてくると国語力全般の伸長にもつながると私は考えています。


そして、前提となるこの「語彙力」の次にくるのが「文章を頭の中に構築する力」だと考えています。「文章内容を頭の中に構築する力」というと、なかなかイメージしづらいと思いますが、書かれている文章に沿って、内容を頭の中に「積み上げて」いくような感覚です。読み終わったあとに、文章内容が自分なりの形で「頭の中に入っているか」がポイントです。


この点に関しては、文章の長さによっても「考え方」や「伸ばし方」は変わってきます。本当の意味での「国語力」「読解力」は、長い文章(一冊の長文の本をイメージしてください)を読み解く力を指すことになるでしょう。しかし、中学入試における「読解力」は、少し違ってきます。中学入試で出題される文章の長さ(3,000字~4,000字程度の文章)を読み解くことができればよいわけです。これらの力を伸ばすためには、説明的文章であれば「段落ごとに理解しながら読んでいく」「意味段落のつながりを考える」といった学習が、物語文であれば「場面分け」「場面による登場人物の心情変化」といった学習が有効になってきます。


さらに「文章をより深く理解する」ために必要となるのは、書かれている内容や背景に関する知識を持っているかどうかという点になるでしょう。初めて触れるテーマの文章を、完璧に理解するのはなかなか難しいと思います。中学入試カリキュラムのテキスト・テストに出題される文章は、小学生にとって身近なテーマや内容ではないことが多いのです。そのため、それらのテーマ・内容の文章に触れる経験も、大きな意味での「読解力向上」につながるわけです。そう考えれば、単に文章を読むだけでなく、さまざまな物事に対して興味関心を持つこと、さまざまな経験をするということも、必要なことだといえるかもしれません。


もうすぐ夏休みがやってきます。多くの小学校で「読書感想文」が夏休みの宿題として課されることでしょう。この夏にどのような文章に触れさせるか、お考えいただければと思います。


次回は国語学習に関する第3回目として、「表現力・記述力」について書かせていただく予定です。

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