『さぁ、競争だ!』
2021.05.21
6月6日(日)に実施される「全国統一小学生テスト」のポスターが、早稲田アカデミーの各校舎に貼られています。「さぁ、競争だ!」という言葉が目に飛び込んできます。私も担当しているクラスで「全国のライバルとの競争、がんばろう」と言って、当日使用する受験票(二次元コードシール)を生徒たちに配布しました。
お子様が伸びるための要素の一つに、「競争心」があります。早稲田アカデミーでは、「本気でやる子を育てる。」という教育理念にもとづく指導を行っているのですが、やる気を引き出すひとつの方法として「競争を楽しむ」ことも意識して指導しています。小学4年生・5年生で隔週行われているカリキュラムテストの成績優秀者を掲示したり、各クラスの確認テストの成績優秀者を発表したり、といった手法です。私も4年生の夏期講習会などでは、毎回の授業で「今日の国語チャンピオン」を漢字テストや知識テスト、確認テストなどの成績で決めて、生徒たちを盛り上げたことがあります。
子どもはもともと、競争することが好きなものです。得点や速さ(記録)などを比べ合い、競い合うことで「やる気」が生まれてきます。ゲームでもスポーツでも、そこに「競い合い」があるからこそ、子どもたちは真剣に取り組み、楽しんでいるのだと思います。
以前、ニュースを見たことがあります。他者と争うのは良くないことなので、運動会の徒競走でみんなが手をつないでゴールをするように変えた小学校の話でした。道徳的なものとしては一つの考え方だと思います。「みんなで仲良く」ということに焦点をあてた指導なのであれば、そういった方法も良いと思います。しかし、それぞれの持つ能力を引き出し高めていくことを考えるのであれば、競争は競争として真剣に取り組ませることも必要だと、私は考えています。
さて、その競争なのですが、多くの場合は自分とは違う「他者=ライバル」と競い合うことになるでしょう。そして、そのライバルの存在が大きければ大きいほど、やる気もより高まるように思います。同じような力を持ったライバルが身近にいれば、「負けたくない」という気持ちも強くなるはずです。小学3年生くらいまでは、大人に「褒められたい」「叱られたくない」という意識が強い時期ですので、ライバルの存在はそれほど意識しないものですが、4年生くらいからは徐々に、その存在が大きくなってくるはずです。一言でいえば、「切磋琢磨できる環境」がお子様を伸ばすための要素の一つになる、と言うことができるのです。お子様の精神的成長については、6月に公開予定の「Onlineクローバーセミナー」でも取り上げているのですが、「刺激」「環境」「自覚」の三つをキーワードとしてお話しすることがあります。
一方で、競争はライバルとだけ行うわけではありません。「自分との競争」も成長のためには、大きな要素なのです。タイムを競うスポーツなどにはよくあることだと思いますが、単純に順位を競うだけではなく、自分の記録を塗り替えることも、過去の自分との競争と考えることができます。学習面でいえば、自分の過去の偏差値を超える、クラスを一つ上げるといった目標設定も、大きな意味では「自分との競争」と言うことができます。この「自分との競争」を楽しめるようになれば、お子様方は大きく成長できるようになるはずです。
「全国統一小学生テスト」のテレビCМをご覧になりましたでしょうか。小学生が記者役になり、「今年も無料なんですよね?」というような質問をする「記者会見編」というCМです。そのなかで、最後に女子生徒が「テスト中が一番成長する、とお考えなのですね?」という質問をします。小学生のテストの大きな目的として、私はいつも「小学生が一番真剣に問題に取り組むのはテストのときです」とお話ししています。テスト中は誰にも頼れず、自分だけの力で問題と対峙しなくてはなりません。そして、そこに「ライバルとの競争」「自分との競争」という意識があることで、より真剣に向き合うはずです。その気持ちを大切にしていただき、テストを受けるお子様を応援していただければと思います。
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