『「蟹の王様」は蟹ではなかった!』
2021.11.17
日本では、ズワイガニ・タラバガニ・毛ガニの3種類が有名ですが、これらの中で「蟹の王様」とよく言われるのはタラバガニのようです。味は人によって好みもあるでしょうから、たぶん大きさから「王様」と表現されているのでしょう。実際に英語でも「King crab」と呼ばれるようです。ちなみにズワイガニは英語では「Queen crab」と呼ばれています。
タラバガニとズワイガニの足の本数の違いをご存知でしょうか。タラバガニは片側に4本、全部で8本の足がついています。一方でズワイガニは片側に5本、全部で10本の足があります。足の太さは圧倒的にタラバガニの方が太いので、その身を食べるのにはタラバガニの方がむいています。
この足の本数の違いからもわかるのですが、タラバガニとズワイガニは生物学上の分類が違います。有名な話ですので、ご存知の方も多いと思います。本当の意味で「カニ」なのはズワイガニの方です。エビ目カニ下目クモガニ科に分類されますので、正真正銘の「カニ」ということになります。一方でタラバガニはエビ目ヤドカリ下目タラバガニ科に分類されますので、厳密にいえば「ヤドカリ」の仲間ということになるのです。私はこの話を初めて聞いたとき、「えっ?ヤドカリ……?」と思ってしまいました。目の前のタラバガニの足に対する食欲が急に落ちたように感じたのは一瞬で、「美味しければいいや」とかじりついたのですが……。
カニの仲間は横にしか歩けないのですが、タラバガニはヤドカリの仲間なので、前にも歩くことができるそうです。今度、水族館に行ったら見てみようと思っています。
以前から何度か書かせていただいているのですが、「食卓での会話」はお子様の興味関心を広げるのに効果的なものです。理科的な話はもちろんですが、社会につながる話にも発展できそうです。
タラバガニという名前は、「タラの漁場」で多く獲れるというところからついたものだと聞いたことがあります。タラという魚がどんなところで獲れるのか、漁獲量という話題にもつながりそうです。ズワイガニは獲れる地方によっていろいろな名前がつきます。山陰地方で水揚げされたものは「松葉ガニ」と呼ばれます。また有名な「越前ガニ」は福井県の越前漁港で水揚げされたものだけにつけられる名前で、いわゆる「ブランドガニ」と言われるもののようです。調べてみたところ、カニの漁場から越前漁港までの距離が近いために、鮮度を保ったまま水揚げされるという点も「ブランド力」となっているようです。
昔、金沢の近江町市場で「香箱ガニ」という小さな蟹を見たことがあります。当時は聞いたことがなかったので調べてみたところ、「ズワイガニの雌」のことでした。雄と雌ではこんなに大きさが違うんだと驚いたのを覚えています。ちなみに石川県産の雄は「加能ガニ」という名前が2006年に公募でつけられたそうです。「加賀」「能登」という地名から名付けられたということでした。よろしければお子様にも教えてあげてください。
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