四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『寒くなってくると、お鍋が食べたくなりますよね』

2021.10.29

10月いっぱいまで早稲田アカデミーでは「クールビズ期間」となっており、ネクタイ・上着の着用は省略させていただいております。私もネクタイはしていないのですが、肌寒いときは上着を着て出勤するようにしています。自分なりの基準として、朝のNHKで、「最高気温が25℃」よりも下回るときは上着を着るようにしています。ただ、校舎に着くと上着を脱いでしまうことがほとんどです。特に授業のときには、板書をするのでちょっと窮屈だったり、肩が凝ってしまったりするので、上着を着ていることはまずありません。


先日の授業の際には、上着を着て教室に向かいました。新型コロナウイルスの感染状況は比較的落ち着いてきていますが、早稲田アカデミーでは感染防止のための対策は継続しています。換気のために窓を開けると肌寒く感じることもありますので、それを考えてスーツの上着を着用して教室に向かったわけです。


生徒たちからは、「先生!ハロウィン?」と聞かれました。「えっ?」と答えたら、「服が違うから……」という答えが返ってきました。そして、違う生徒から「会社員のコスプレみたい!」と言われて衝撃を受けました。一瞬、答えにつまったのですが、「まずね、これは仕事用のスーツでコスプレではないんだよ。それからね、先生はそもそも会社員なんだし」と説明をしました。今度は子どもたちが驚いた様子でした。


「先生って、会社員なの?どこの会社なの?」という質問は考えてもいませんでした。彼らにとっては、「先生は先生であって会社員ではなく」、「早稲田アカデミーは塾であって会社ではない」のだということに、改めて気づかされたのですが、笑ってしまいました。


肌寒くなると食べたくなる料理があります。「ヤンソンさんの誘惑」という面白い名前の料理です。簡単に言ってしまえば「ジャガイモのアンチョビ味グラタン」という感じなのですが、スウェーデンの伝統的な家庭料理です。日本でも知られてきているようで、たまにレストランなどで、そのままの名前で見かけることがあります。調理法はとても簡単らしいのですが、私にとってはまったくの専門外の領域なので、割愛させていただきます。お子様も好きな味だと思いますので、よろしければ調べてみてください。


ヨーロッパでは「ホームパーティー」がよく行われます。そのための料理をデリバリーするお店も多くあります。ただ、この「ヤンソンさんの誘惑」だけは手作りなのが普通だという話を聞きました。「家庭の味」なのでしょう。私もスウェーデンでは何度かホームパーティーにお招きいただいたことがあるのですが、それぞれのご家庭でやはり違っていたのを思い出します。まずジャガイモの形が、フライドポテトのように細長く切った形だったり、輪切り(というのでしょうか)になっていたり、大きめのサイコロのようにカットしてあったり、とさまざまでした。


スウェーデンの知人に「ヤンソンさんの誘惑」という料理名について尋ねてみたところ、「スウェーデンでは『ヤンソン』という名前は一般的なんです」と教えてくれました。日本でいえば「田中さん」とか「佐藤さん」とかというようなイメージでしょうか。「『誘惑』というのは『とても美味しくて食べずにはいられない』というような意味です」とも。


先日、岡山出身の友人と「ままかり」という魚の語源についての話になりました。「まま」というのは「ご飯(お米)」の意味で、「あまりに美味しいため、隣の家にご飯を借りにいってまで食べたい」という意味で「ままかり」という名前になったという話を聞いたことがあったので、それを伝えたら「そうなんです!よく知っていますね。その話は岡山では『食育』の一環として学校で教わるんですよ」と言っていました。


中学入試でも「子どもにとって身近なもの」として食材や料理についての問題が出題されることがあります。今年の入試問題では、麻布中の社会がほぼ全問「食」に関する出題でした。「雑煮に入れるのは丸餅と角餅に分かれるが、山形県酒田市で丸餅が食べられている理由」を問う問題(選択式)や「学校給食にかかわる問題点を考えさせ、より意味のある共食となる改善点」などを記述させる問題などが出題されています。海城中の理科では「アジの開きを作るのに塩をまぶして作る理由」「開いたアジの図に『背骨』『はらわた』の場所を書き込ませる」といった出題がありました。女子学院中でも、社会の大問(4題)がすべて「食」に関する文章になっていました。「ところてん、そうめんの原材料を問う」問題などが出題されました。面白かったのは「キウイフルーツのゼリーの問題」です。大妻中と洗足学園中で似たような問題が出題されています。大妻中では「キウイフルーツの持つ酵素のために、ゼリーがうまく固まらなかったので、うまくできる手順を考える」という内容、洗足学園中では「ゼリーにキウイフルーツのスムージーをかけて、ゼリーが溶けるかどうかの実験」という内容でした。


もちろん、普段の食卓が「受験勉強」になってしまうのは、本末転倒ですし、味気ないものになってしまいますが、「身近なもの」に対する興味や関心を高めるのにはよい機会かもしれません。以前、小4のある生徒が突然「先生!シュークリームの『シュー』ってなんのことか知っている?」と聞いてきました。きっと、ご家庭でお母様とそんなお話になったのではないでしょうか。


記事の題名には「お鍋」という言葉があるのですが、そこまでたどり着きませんでした。その話は「また今度」ということで……。

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