『3547校』
2022.07.27
3547校……夏の全国高等学校野球選手権大会に参加している学校の総数です。わかりやすくいえば、甲子園出場を目指して、地方大会に参加をしている高校の数ということになります。ちょうどいま都道府県大会の終盤戦が行われているところです。
私が以前教えたことのある生徒が、今年、ある強豪校の高校3年生で主将をやっていました。甲子園出場のチャンスもあると思って応援していたのですが、残念ながら先日行われた準決勝で敗退してしまいました。3年間、お疲れ様でした。
ちょっとだけ算数の問題を。 「夏の全国高等学校野球選手権大会に、今年は全国から3547校が参加しています。甲子園での優勝が決まるまでに、全部で何試合が行われるでしょうか」 小学校5年生の一学期に学習する内容ですが、考え方がわかれば簡単です。トーナメント方式(ノックアウト方式・勝ち抜き戦)で行われますので、1試合終わるごとに1チームが消えていきます。そして、最後に残った1校が優勝校となるわけですから、答えは「3547-1=3546(試合)」ということになります。
この問題の説明をするときに、生徒に話すことがあります。「甲子園で優勝したチームとそれ以外のチームには大きな違いがあるけれどわかるかな」という質問から始めます。ちょっと考えて気がついた生徒が答えてくれます。「優勝したチームだけ、負けてない!」
「そうなんだ。でもね、甲子園の決勝で負けた準優勝のチームも、地方予選の1回戦で敗退したチームも、負けた回数はみんな1回ずつだよね」と続けます。「そう考えると、1回も負けなかった優勝チームって、本当にすごいよね」とまとめます。「だからみんなも漢字テスト(計算テスト)で1問も間違えずに満点をとろう」とこじつけてしまうこともあるのですが。
3547校のすべてが「全国優勝」を目指しているわけではないでしょう。「甲子園出場」を目標としている学校もあれば、「県大会での1勝」が目標となっている学校もあるのではないでしょうか。どんな目標であったとしても、それぞれの目標へ向けた努力は素晴らしいものだと思います。目標に向かって真剣に取り組んだ日々、毎日の練習をつらく感じることもあったはずです。ただ、その日々は球児たちの高校生活の中で「輝いていた」時間だったと思います。この夏、「一度も負けなかった学校が1校だけ」だったとするならば、3546校の多くの球児たちが、負けて「悔し涙」を流した瞬間があったはずです。でも、きっとその瞬間も、将来振り返ってみれば「キラキラと輝いて」感じられるのではないでしょうか。
中学受験において、志望校という大きな目標に向けて真剣に取り組んでいく日々も、決して楽な道ではないはずです。宿題が難しく感じられたとき、テストで思い通りにいかなかったとき、涙が流れることもときにはあるはずです。そんなときを乗り越えて、目標に向かってがんばり続けた日々は、やはり「キラキラと輝いている」と思うのです。そして、そんな日々がお子様を成長させ、将来に生きる力につながるのだと私は思っています。
夏期講習会が行われています。一年間で一番まとまった学習時間がとれる時期です。目標に向かって「輝いている時間」を過ごしているお子様方を応援していきたいと考えています。
- 2022.07.27 『3547校』
- 2022.07.22 『感動の図式』
- 2022.07.20 『50円玉と5円玉』
- 2022.07.15 『夏休みへ向けたアドバイス』
- 2022.07.13 『非日常体験』