四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『顕著な大雪に関する気象情報』

2022.12.21

先日の日曜日の夜に福島県で、月曜日の朝には新潟県で、「顕著な大雪に関する気象情報」が発表されました。この気象情報は、比較的新しいもので、2018年の12月に日本海側の豪雪地帯である4県(新潟県・富山県・石川県・福井県)で試験的に運用が開始され、その後山形県・福島県が追加され、さらに昨年からは滋賀県・京都府・兵庫県・岡山県・鳥取県・島根県・広島県にも対象範囲が拡大されました。「記録的短時間大雨情報」と同じように、災害等の被害につながる降雪、大規模な交通障害の危険性がある場合に発表されるものです。


「雪」のニュースを見ていて思い出したのですが、「雪が解けたら何になる?」という質問に対して、「水」と答えるのが理系、「春」と答えるのが文系、そんな話を聞いたことがあります。何となくわかる気もするのですが、たぶんこれは「たとえ話・笑い話」の一つだと思っています。ちなみに私は、即座に「水!」と答えました。今日は「文系・理系」について、書かせていただきます。


中学入試で学ぶ科目では、「国語・社会」と「算数・理科」が、大きく分ければ文系・理系にそれぞれ分類される科目でしょう。「国語・社会」と「算数・理科」で成績に違いが出る生徒が多いのも確かです。ただ、それはそもそものタイプというより、興味・関心の向く方向のように、私は考えています。算数が得意だけれど、歴史にも興味を持っていて社会が大好きというような生徒もいます。


たまに「両親ともに理系の家系なのに、算数が苦手なのはなぜでしょう?」そんなご相談をいただくことがあります。確かに文系・理系という部分においては、遺伝的な要素もあるような気がします。生物学的な「遺伝」の要素なのか、ある種後天的な環境が左右するものかは、専門家ではありませんのでよくわかりませんが、ご両親と同じ職業を選ぶ子どもが、一定以上の割合いるという点を考えても、親の影響があるというのは事実だと思います。


では、親が得意だった科目なのに、子どもは苦手になってしまうという現象はどうして起こるのでしょうか。
一つには、その科目の学習能力が高くても、その能力がどの程度開発されているかによって、小学生段階での「得意・不得意」は決まってくるものだからであると考えています。本来は「文系」で、国語の能力は高いはずなのに、国語学習が効果的に行われなければ、その能力は開発されないわけです。中学受験レベルの学習であっても、子どもが本来持っている能力のすべてを開発できるわけではもちろんありません。それぞれの子どもが持っている学習能力は、中学入試のそれを大きく超えるもののはずです。ただ、11・12歳までに開発できるのは、本来持っている学習能力のある部分までのはずですから、その開発度合いによって、「本来は理系のはずなのに、算数が苦手」というようなことが起こってくるのだと考えています。


さらにもう一つの理由は、そもそも中学入試の科目学習においては、厳密な意味での「文系・理系」という考え方はできないと思っているからです。「算数」は数字を使うという点で、理系科目ととらえられがちですが、私はそうは考えていません。「数学」になると、論理的に数式で考えていくという部分が多くなりますが、「算数」では、さまざまな思考方法や処理方法が必要です。正解に至る道筋を論理的に考えることが必要な問題もありますが、ときには飛躍した思考やヒラメキが必要な問題もあるわけです。さらには、設問文を読んできちんと理解し、整理するというような点では国語的(論理的に読解する)感性も必要になってくるのです。そういう視点で考えると、「文系・理系」と分けて考えることは、適切でないように思うのです。


さて、もう少し将来のことを考えてみます。これからの未来、お子様にとって必要となる力は「文系・理系」に偏ったものではないと考えています。もちろんどちらを専門に進めていくかは、進学した大学の学部や職業によって違いは出てくるでしょうが、理系の職業だから、文系的素養はまったく必要がない、もしくはその逆ということはないと思うのです。特に、現代そしてこれからの未来においては、理系・文系がよりクロスオーバーするような学問・職業が増えてくると私は考えています。たとえば、大学の経済学部といえば文系の代表的な学部でしたが、いまでは文理融合学部と言われることもあるように、現在の経済学において数学的要素は必須になっているのです。そう考えると、高校における「文系・理系」のコース分けについては、いろいろと考えることも必要になってくると思うのです。


高校(特に進学校)における文理コース分け(クラス分け)は、大学入試という点だけを考えると効果的なもののように思います。しかし、その先の大学で学ぶことを考えると疑問点も残ります。ある難関進学校の校長先生とお話しした際に、「うちの学校では文理コース分けをしていません。文系志望の生徒にとっても理系的な素養は必要ですし、理系志望の生徒にとっても文系的な考え方が必要だと思うのです」ということをおっしゃっていたのを思い出します。


高校に進学した生徒から、「文系・理系のコース分けがあるのですが、どちらにしたらよいですか」という相談をもらうこともあります。そのときにいろいろと聞いてみると、「自分は数学が苦手なので、文系に……」という話が出てくることがあります。私が必ずアドバイスするのは「科目の得意、不得意で考えることはやめた方がよい」というポイントです。「もっと先を考えて……」ということも話をしているのですが、高校生になっていても、なかなかそこまでの視点を持つのが難しい場合もあるようです。

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