四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『ベストパフォーマンスを発揮する』

2023.05.26

明日(5月27日)、小学3年生を対象とした「第二回マンスリーテスト」が行われます。また、翌週の日曜日には、いよいよ「全国統一小学生テスト」が実施されます。小3の方は二週連続で「大きなテスト」となりますが、ぜひ前向きに、できれば「楽しんで」受験をしてください。保護者の皆様は、結果よりも、まずはがんばってテストに挑戦したお子様をほめてあげてください。今回はそんな小学生のテストについての話を。


「ベストパフォーマンス」という言葉を耳にすることがあります。正確な英語的な意味ではなく、和製英語的な使われ方のようにも感じるのですが、「ベストパフォーマンスを発揮する」という形などでよく使われているようです。私も早稲田アカデミーの職員に対して、「授業では毎回『ベストパフォーマンス』が出せるように意識して準備し、臨みなさい」というような研修を行うことがあります。


小学生のお子様が、学習に対して「ベストパフォーマンス」を発揮するのは、どんなタイミングでしょうか。もちろんすべての学習機会において、最高の集中力や気合いで臨むに越したことはないのですが、それはもちろん無理な話です。早稲田アカデミーの授業では「私語のない緊張感のある授業」を実践し(とは言ってもシーンと静まり返った状態というのではなく、集中して生徒全員が頭を回転させられる状態をつくり)、講師の講義や問題演習に集中して取り組ませています。一方で、家庭学習において同じレベルでの「集中」を望むのは小学生のお子様にとっては難しいことでしょう。しかし、小学生が授業以上に集中力を発揮する場面があります。それはテストの問題に向かっているときです。


私は小学1年生から6年生までスイミングクラブに通っていました。当時は今ほどスイミングクラブが多くなかったこともあり、私でもかなり上位の成績を残すことができました。運動神経以前に小学生としては身体が大きかったこともあり、同年代の生徒と比較してよい成績で、九州で行われた全国大会に出場させていただいたこともあります。


毎週、月曜日から金曜日までは夕方に練習をし、毎回タイムもはかっていました。しかし、自己最高記録を更新するのは、必ず日曜日に行われる「記録会」だったのを覚えています。練習でも決して手を抜いていたつもりはないのですが、ベストタイムを出すことはできませんでした。そして、一度「記録会」で記録を塗り替えると、不思議なもので、次の練習からは「それまでのベスト」は軽々と越えられるようになりました。「ベストパフォーマンス」を発揮することで、それまでできなかったことができるようになる。その時点でそこまでの「壁」を乗り越える、そんなイメージでしょうか。


お子様の学習に置き換えてみます。授業で習った内容は「わかった」つもりでお帰りになるはずです。家庭学習で宿題を進めるときに、易しい問題はできても、難しい問題になると「わかってはいるけれど自分では解ききれない」という状態になることがあるはずです。その壁を乗り越えるのは、テストで真剣に問題に取り組んでいるときなのです。「テストになったからといって、今までできなかった問題ができるようになるはずはない」というのも、一方では正しいと思います。特にそれが高校生以上の場合はそうでしょう。しかし、小学生の場合、精神的な成長の途上にあります。気持ちの面においても、ムラもあれば、甘え(依存心)も残っています。その気持ちも含めてベストな状態でテストに臨むことができれば、それまでできなかった問題もできる瞬間があるはずです。私の水泳では「記録会」が一つのきっかけとなったように、お子様にとっては「テスト」がきっかけとなって階段を一つ上る、そんな瞬間なのだとお考えください。

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