『君には、君がついている。』
2024.01.10
すでに茨城県の中学校では入学試験が始まっていますが、本日(1月10日)から埼玉県の私立中学校入試が始まり、本格的に首都圏の中学入試がスタートいたしました。1月20日からは千葉県の入試が始まり、2月1日からは東京都と神奈川県の学校の入試が行われます。ひと昔前は、埼玉県・千葉県の入試は都内や神奈川県入試の「前哨戦」というような位置づけでした。2月に行われる志望校の入試の前に、入試の雰囲気を感じたり、合格を勝ち取っておくことで自信を持たせたり、という意味合いで受験をおすすめしていたことがあります。しかし、最近は「前哨戦」というよりも、「志望校」の一つとして進学意志を持って受験をされる方も増えてきています。東京都内や神奈川県に住んでいても、埼玉県や千葉県の学校への進学を希望する方の場合、いくつかの理由があります。
まず一つ目の理由として、首都圏交通網の整備により、距離的には遠くても通学できるエリアが広がってきたことが挙げられます。今から20年ほど前、私が神奈川校舎の責任者をしていたときには、神奈川県にお住いの方に千葉県の学校をおすすめすることはほとんどありませんでした。電車に乗っている時間もかかり、乗り換えも多いため、「合格しても現実的には通えない」というのがその理由でした。しかし、いまでは神奈川県から千葉県まで、乗り換えずに移動できる電車も増えてきています。インターネットで検索してみたところ、横須賀線から総武線への乗り入れ電車を使えば、神奈川県の武蔵小杉から千葉県の市川までは直通で36分という結果が出てきました。
ただ、やはり遠くの学校に通うという点にはいくつかの不安もあるようです。特に2011年の東日本大震災のあとは、埼玉県・千葉県の学校への東京都・神奈川県の受験生からの出願が大幅に減ったのは事実です。万が一のときに帰ってこられなくなったら……という保護者の皆様の心理が働いたのだと思います。そういった点を考慮して、多くの学校では「防災対策」や「防災用品の備蓄」に力を入れており、学校説明会などでも説明しているところが多くなってきています。6年間、お子様を預ける環境として、保護者の皆様に安心していただけるようにと考えられているようです。
二つ目の理由として挙げられるのが、埼玉県・千葉県の学校の多くが「共学校」であるということです。ここ10年ほど、中学入試おける全体の流れとして「共学校人気」が強くなってきています。「男子校・女子校」にも「共学校」にも、それぞれのよさ(利点)があるのですが、傾向としては「共学校」を選ばれるご家庭が多くなってきていることは、私自身も志望校選定の現場で強く感じています。一方で、都内には「男子校・女子校」の方が多いのが現状です。学校改革などにより「共学化」を進めている学校も多くなってきていますが、現時点では、「共学校」は多くありません。私立大学の附属校は早稲田実業や明大明治、中大附属などに代表されるように難関校においても「共学化」した学校も多くありますが、都内の難関進学校(大学受験を目指す学校)は「男子校・女子校」の方が圧倒的に多いのが現状です。一方で、埼玉県・千葉県の進学校の上位は栄東・開智・渋谷教育学園幕張・市川などに代表されるように、多くが「共学校」となっています。将来の難関大学受験を目指す生徒の中で共学校を志望する受験生の中には、都内や神奈川県に住んでいても埼玉県や千葉県の学校の志望順位が高くなっているケースも多くなってきているのです。
ここからの1カ月間、受験生たちは自らの未来を勝ち取るための試練に立ち向かっていくことになります。非受験学年の保護者の皆様も、今年の受験生たちを応援してあげてください。早稲田アカデミー各校舎には、受験生へ向けて、担当講師たちからの応援メッセージポスターや「You’re the HERO.」というポスターが貼られています。そちらもぜひご覧になってください。
「You’re the HERO.」には、「その日、君は一人じゃない。君には、君がついている。」というメッセージが書かれています。年末や年明けの授業で、受験生に「初詣」について話をすることがあります。「受験生なので、合格祈願のために初詣に行く人がいるかもしれない。特に学問の神様と言われる菅原道真を祀っている湯島天神や亀戸天神などは受験生には人気だし、そこに行くと「〇〇中学校に合格できますように」という絵馬もたくさんかけられている。初詣はもちろん悪いことではないし、神様に最後の一押しをお願いするのも気持ちを落ち着かせる方法の一つとしてはあるだろう。君たちのカバンについているお守りも、お祖父様やお祖母様が君たちのために送ってくれたものかもしれない。そこからは君たちを応援する気持ちが伝わってくるだろうし、それは必ずや君たちの力になるはずだ。ただ、君たち自身は「神頼み」で合格できるとは思っていないよね。君たちは、君たちを合格に導いてくれる人を拝み、合格をお願いするべきだよね。そして、それは両親でも先生たちでもなくて、君たち自身だ」そんな話です。それを一言で言い表したのが、今年の「You’re the HERO.」のメッセージだと思って読んでいました。
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