『フランダースの犬』
2023.12.20
今週末はクリスマス。楽しみにしているお子様も多いと思います。 昨年までの3年間、コロナ禍の中での年末年始となっていましたが、今年は行動制限もなく、明るい笑顔で過ごせるのではないでしょうか。
昨年のこの時期のブログにも書かせていただいたのですが、今年も「ブックサンタ」に参加してきました。本屋さんで子どもに寄付したい本を買って本屋さんのレジに預け、それをNPO法人が大変な境遇にいらっしゃるお子様方に届けてくださるというシステムです。私が選んだ本がどんなお子様の手元に届いたのかはもちろんわからないのですが、クリスマスイヴに届けられた本を、目を輝かせながら読んでくれている子どもの姿を想像すると、私も幸せな気分になれます。
昨年のブログで「ブックサンタ」について書かせていただいたところ、あるお母様から「子どもと一緒に本屋さんに行って、本を選んで参加をしてきました」というお話をいただきました。
いまになって振り返ると、私はとても幸せな環境で子ども時代を送ることができたのだと思います。幼児期には「こどものとも」「かがくのとも」という月刊誌が自宅に届いていました。小学生時代には、毎月定期的に「世界こども文学全集」という本が自宅に届けられていました。毎月、当たり前のように家に届くそれらの本を読んでいたのですが、いろいろな力がそれによって伸ばされたように感じています。先日のブログに書かせていただいた、オー・ヘンリーの「賢者の贈り物」もその全集で読んだのが初めてだったように思います。「十五少年漂流記」「赤毛のアン」「トムソーヤの冒険」「ガリバー旅行記」などなど、いろいろな作品に触れさせてもらった全集です。
さらに、祖父と父の仕事の関係で、近所の本屋さんの支払いは「月末にまとめて」という形になっておりましたので、小学生の私でもその本屋さんでは、好きな本をレジに持っていくと、いわゆる「ツケ」で買えてしまっていました。さらに近隣には大きな図書館もあって、毎週のように自転車で通っていました。身近に本があるのが当たり前で、本を読むということが、生活の中に習慣として根付いていたように思います。
「世界こども文学全集」で思い出したのが、「フランダースの犬」です。日本ではアニメが有名ですが、私の「フランダースの犬」は「世界こども文学全集」の文章と挿絵です。ラストシーンがとても悲しくて、涙がとまらなかった記憶があります。あのラストシーンがクリスマスイヴなのは皆様ご存じのことでしょう。よろしければ、今年のクリスマスにお子様に読ませていただくのもよいかもしれません。画家を目指していた主人公のネロが、ずっと憧れていたルーベンスの絵画を吹雪の中見に行くシーン。それを追いかけるパトラッシュ。そんなシーンがいまでも頭に浮かびます。
中学生になって美術の教科書にルーベンスという画家が載っていました。それまで、「フランダースの犬」に出てきた画家や絵は、作品の中だけのもの(つまり作者の想像上のもの)と思っていたのですが、そこで実際にその絵が存在することを知ることになりました。そこからいろいろと調べてみました。現在ならばインターネットの検索ですぐに見つけることができますが、当時はそれこそ一日図書館でいろいろな本を探して、やっとたどりつきました。
ネロが見たかった絵画は、ルーベンスの「キリスト昇架」「キリスト降架」というもので、ベルギーのアントワープの大聖堂に所蔵されているというところまで、見つけました。それから、私の中ではその絵を見たいという想いが強くなっていきました。実際の絵の写真も載っていたのですが、現物は非常に大きいもののようでしたので、「いつか必ずこの絵の前に立ちたい」という気持ちになりました。大学生のときに、その夢はかないました。ただ、夏の時期だったので、ネロとパトラッシュの見た景色ではなかったのが残念なのですが。 このブログを書きながら、来年の「ブックサンタ」では「フランダースの犬」を寄付しようと、心に決めました。皆様、よいクリスマスをお過ごしください!
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