四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『49万1913人』

2024.01.17

先週末に「大学入学共通テスト」が実施されました。ニュースでも大きく取り上げられていましたので、ご存じの方もいらっしゃると思いますが、今回の題名となっている「49万1913人」は共通テストの出願者数です。「32年ぶりに50万人を下回った」と話題になっていました。この数字を少し詳しく解説してみたいと思います。


調べてみたところ、2024年の18歳人口(全国)は106.3万人となっていました。年度単位の集計とは完全に一致しませんが、今年の3月に高校を卒業する生徒の数はほぼこれくらいの数字だとお考えください。「大学入学共通テスト」の出願者数のうち、今年の3月に高校を卒業する、いわゆる「現役生」の数は約42万人、「既卒生」は約7万人となっています。1994年度の「大学入試センター試験」では、「既卒生」が19万人もいましたので、半減以下になっていることがおわかりいただけると思います。


一方で、全国規模で見たときの、高校卒業生の「大学進学率」は、ここ10年間で大きく上昇しています。昨年の3月に高校を卒業した生徒のうち、4年制大学に進学をした生徒の割合は57.7%という統計数値が出ています。短期大学への進学率が3.4%、専門学校への進学率は21.9%という数値になっているようです。これらをすべて足した「高等教育機関」への進学率は84.0%という数値です。もちろん、首都圏の約30万人の高校卒業生で見てみると、「大学進学率」は大きく跳ね上がります。また、「大学入学共通テスト」を経由しないで大学への進学を決める生徒も増加傾向にあります。私大の付属校からの内部進学や、高校からの学校推薦、さらには最近話題となっている「総合型選抜」の志願者数も年々増えてきているのが、現在の大学進学の状況です。


さて、気になる問題の傾向です。私も大学受験指導から離れていますので、専門外ではあるのですが、毎年興味を持って問題に目を通しています。算数的な視点では、特に「数ⅠA」が毎年気になるのですが、やはり今年も算数で解ける問題が出題されていました。過去2年は大問3の場合の数・確率の問題が算数で解けるタイプの出題でした。2022年の「プレゼント交換」、2023年の「ひもでつないだ球を5色で塗り分ける」というそれぞれの問題は、ちょっと問題文の表現を変えれば(さらに確率を除けば)、中学入試で出題されてもおかしくないものでした。今年の大問3の確率の問題は、「箱の中に入っているアルファベットが書かれたカードを取り出して戻す」というルールの問題で、考え方は算数的なのですが、設問条件の表現がかなり数学的なので、小学生が解くためには表現や設問のつくりを変える必要があると思って見ていました。ただ、大学入学共通テストの傾向として、とても丁寧に(1)から誘導されているので、そこをしっかりと理解して追いかければ解ききれるタイプの良い問題だと個人的には思います。


今年は大問4が非常に算数的な問題でした。「n進数」の問題なのですが、3進法・4進法・6進法で3桁の数字が表示されるタイマーについて出題されていました。小学6年生にそのままやらせてみたいと思うような問題でした。


国語に関しては、昨年まで出題されていた「複数の文章を読んで考えるタイプ」の問題はなくなり、大問1で「本文を読んで、生徒が自分で書いた文章を推敲する」という問題が新傾向として出題されていました。新しいスタイルの出題ではありましたが、難しく考えるようなものではなく、逆に比較的解きやすい問題だったのではないかと思っています。また、大問2の小説文では「小説を読んだ後に、先生から渡された資料を見ながら、生徒たちと先生が対話する文章に関する出題がありました。多角的な表現のとらえ方が必要な問題になっていました。


全般的に国語については、中学入試での「解き方」と大きく異なるような出題はされていないと見ています。出題文そのものは、やはりレベルは上がりますが、本質的な「読解方法」「解法」などは、中学入試と同じものだと考えています。もちろん、大問3・大問4の古文と漢文は、中学入試には出題されませんが……。


今年の「大学入学共通テスト」にも、私が以前教えていた生徒たちが多くチャレンジしているはずです。そのうちの何名かは、早稲田アカデミーの大学受験部校舎にも通ってくれています。早稲田アカデミーで身に付けた「力」で、第一志望校を突破してくれることを祈っています。

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