『中学受験へ向かわれる保護者の皆様へ②』
2024.03.15
昨日は3月14日、「ホワイトデー」。朝のワイドショーではスイーツの特集などをやっていましたが、私にとっては「円周率の日」です。だからということではないのですが、小学3年生では、ちょうど「円と球」という単元を扱っています。もちろんまだ小3では「円周率」は扱いません。早稲田アカデミーのカリキュラムでは、「円周率」を学ぶのは小4二学期になっています。
さて、前回の記事から「中学受験は親子の受験」と言われる中で、具体的な「親の役割」という内容で書かせていただいております。今回はその続きを。前回は「中学受験という選択をするかどうか」「どの塾でどんなカリキュラムでの学習を進めるか」ということを考えて決定するのが、最初の親の役割であるというところまで書かせていただきました。今回は、実際に通塾をして学習を進める中での親の役割、さらには最後のゴールを迎えるところでの親の役割といった観点で進めてまいります。
中学受験へ向けてスタートを切り、塾に通い始めてからの親の役割はさまざまなものがあります。前回の記事でも触れさせていただきましたように、お子様と一緒に一つひとつの学習を進めていくというスタイルもあります。通塾を始めたばかりのころや低学年時にはそういった進め方が必要な場合もあります。ただ、学年が上がってくるとなかなかそういった方法はとれなくなってくるのが一般的です。私は、小学5年生になったタイミングくらいで、学習内容面の細かいところからは手を放していただくようにお話しさせていただくことが多いです。
最近の「中学受験カリキュラム」は、15年前と比較しても大きく変わってきています。保護者の皆様でも、ご自身が中学受験を経験された方もいらっしゃると思いますが、そのころからは学習の進め方も変わっている点が多くあります。高学年になってからは一緒に学習を進めていくのは難しく感じることもあるはずです。また、共働きのご家庭も多くなっているようですので、じっくりと時間をかけてお子様と一緒にというのも難しくなってくるはずです。そして何よりも、小5くらいになるとお子様自身が親と一緒の学習を拒むようになってきます。そういった点から、細かい学習からは手を放していただくことをおすすめしています。一方で、そこからの毎日の生活の中で、一番大きな「親の役割」はお子様の精神的な部分を支えていただくことだと考えています。
中学受験へ向けたカリキュラムは、その学齢の生徒にとっては高いレベルに設定されています。わかりやすくいえば「難しい」と感じる内容になっているわけです。その「難しさ」を「難しいから面白い」「難しいことがわかって楽しい」というように思えている間はよいのですが、「難しくて大変」「難しいからもういやだ」という気持ちになってしまうのは、誰しもあることです。そういったタイミングでしっかりと支えていただき、その壁を乗り越えさせてあげるようにサポートをしていただくのは、親の役割の大きなポイントのはずです。そのためには、お子様の学習状況をある程度見ておくことも必要です。
また、首都圏の小6の中での中学受験率は17%前後になっています。地域によってこの数字は変わってきますが、首都圏全体の小6の80%以上は中学受験という選択をしていないわけです。小学校でも「受験をしない友達」との付き合い方などが難しくなってくる場合もあります。「中学受験をする」という選択をした段階での、「なぜ中学受験をすると決めたのか」という「軸」をしっかりとお子様が理解し、納得しておくことが大切です。そのためにはお子様との会話も必要になってくるはずです。
受験学年になってからの「親の役割」として一番大きなものは、「受験校の選択」になります。非受験学年の間に「一番行きたい学校=第一志望校」は決まっているはずですが、実際にその学校を受験するかどうかも含め、さらにはそのほかにどの学校を受験するかといった「受験校選択」が非常に大きな親の役割となるはずです。実際に六年間通うことになるお子様の意見を尊重する必要はあると考えますが、その手前で「どの学校を選択肢とするか」といった基準を決めるのは、やはり親の考えから始まるべきだと思います。
そして、入試直前期(10月からの約4カ月間)のお子様のメンタル面でのサポートも非常に大きな役割となります。直前期には受験生は大きな不安を抱えはじめます。志望校の過去問題に手をつけ始めてみたものの、なかなか合格ラインを超えることができなかったり、合格可能性判定模試で思うような成績がとれなかったりすると、不安はどんどん大きくなっていきます。不安が大きくなれば集中力も低下し、焦りが出始めると一つひとつの学習に深く取り組めなくなってしまうこともあります。直前期にやらなければならない課題もおろそかになってしまうことが出てきます。
中学受験は高校受験や大学受験とは異なり、成績通りの結果が出てこないことが多くあります。合格可能性30%だった生徒が逆転合格をするというのも珍しいことではありませんが、一方で大学入試などではあまり見られない「逆転不合格」というケースもよくあります。常に合格可能性80%以上だった学校で、思わぬ結果になってしまうような場合です。これは精神的にはまだまだ未熟(成長途上にある)な小学6年生だからだと思います。お子様のメンタル部分を支えていただき、持っている実力の100%を発揮させてあげることが、中学受験における「親の最後の役割」だと考えています。
「親子の受験」という言葉のとらえ方もその進め方も、各ご家庭でさまざまだと思います。ただ、親と子どもが一緒に大きな目標に向かっていくという点については変わらないことでしょう。そこで一番大切なのは、親子が笑顔で楽しみながら進んでいくことだと考えています。私は講師として、それを応援させていただきたいと常に考えています。
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