『オオカミ好きの少女』
2024.03.08
早稲田アカデミーのブランドムービーに「虫好きの少女」篇というものがあるのをご存じでしょうか。虫が好きな小学生の女の子が、「女の子で虫が好きなのは変なのかな」と悩みながらも、お父様の「好きがあれば大丈夫!」という一言に励まされて……というストーリーのショートムービーです。このお話を地で行くニュースを先日拝見しました。
国立科学博物館に「ヤマイヌの一種」として保管されていた剥製を、公開展示で見た小4の女の子が、「絶滅したニホンオオカミではないか」と気付き、そこから調べはじめ、小5のときには自由研究として論文にまとめられたそうです。さらに専門家の助言により、二年間かけてきちんとした学術論文にしたものが、先月(2024年2月)国立科学博物館の電子ジャーナルに発表されました。
その論文は単純に「剥製の特徴」だけに言及したものではなく、その剥製標本の来歴なども当時の台帳などから検証し、百年以上前に上野動物園で飼育されていたニホンオオカミである可能性が高いという結論まで導いているという報道もされていました。
この女の子は現在中学1年生になっていらっしゃいます。ニホンオオカミだけではなく、絶滅した動物全般に興味を持つようになったのは、小学2年生で見た図鑑からだそうです。お名前はニュースなどでも報道されていますし、このブログでご紹介させていただいてもかまわないというお言葉をお父様からいただいていますので記載させていただきますが、小森日菜子さんとおっしゃいます。早稲田アカデミーで中学受験を経験され、いまは私立中学校にお通いです。
早稲田アカデミーにお通いだったと聞いて驚かれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。ニホンオオカミについて、専門家も驚くような発見をし、さまざまな検証をして学術論文にまとめるだけでも、かなりの時間と労力が必要だったことでしょう。それを中学受験に向けた学習と両立なさったわけです。ブランドムービーではありませんが、本当に「好きがあれば大丈夫!」という世界なのだと思います。
二年ほど前のブログで「CQ(好奇心指数)」の記事を書かせていただいたことがあります。そのときの記事から、少し引用させていただきます。
『小学生のときに興味関心を持って突き詰めるものは、どんなものでもよいと私は思っているのです。もちろん「鉄道」に対する興味が尽きることなく、大人になってより強くなり、鉄道会社に勤務をするようなこともあるかもしれません。しかし、多くの子どもの場合、小学生・中学生の頃の興味関心は成長するにつれて変わっていくものです。ただ、小学生のときに「好きなもの追究した」という経験は、新たなものに興味がわいたときに活きてくることでしょう。「調べるための方法」も「さまざまな情報のなかから自分が必要とするものを選びとる経験」も、次につながるもののはずです。 お子様の「好奇心」を刺激し、深く追究していくための、親の接し方としては、単に「見守る」だけではなく、「同じものに興味を持つ」「一緒にワクワクする」という視点を持つことが効果的だと考えています。子どもが好きなものについて熱く語っているときに、「ふーん、そうなんだ」というようなリアクションではなく、「そうなの!面白い!」とお答えいただいた方が、お子様はうれしいでしょう。そのうち、お子様の「好き」が、保護者の皆様にとっての「好き」にもなるのではないでしょうか』
今年の中学入試で担当していて第一志望に進学を決められた生徒とお母様がご挨拶にお越しになったときに以下のようなお話しをさせていただきました。
(私)「中学校ではどんなクラブに入るつもりなの?」 (お子様)「やっぱり深海生物のことを調べたいので、生物部に入ろうかと思っていて……」 (お母様)「大学も近くに深い海溝があって、研究が進んでいる北海道大学や高知大学がいいって言い始めているんです」 (私)「好きな深海生物っているの?」 (お子様)「ラブカです。深海に住んでいるサメの一種で……(いろいろと教えてくださいました)」 中学受験に向けた学習の合間に、深海生物についての本を読むのが、彼女の息抜きになっていたようです。
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