『質問への答え方 ~自分で考える習慣を身に付けるために~』
2024.03.29
早稲田アカデミーの各校舎では、春期講習会が行われています。 春期講習会の初日に、2月に入試を終えた生徒のお母様から、小学校の卒業式ではいろいろなことが思い出されて、感動したというお話を伺いました。中学受験をするという選択をして、いろいろなことが経験できてよかった……そんな風におっしゃっていました。卒業式のあと、どんな風に過ごしていらっしゃるかを伺ったのですが、「もう羽根を伸ばしていて……」「でも、講習会がない学校のお休み期間が物足りないみたいで、なんか手持ち無沙汰にしています……」、そんなお話をしてくださいました。
さて、春期講習会について。早稲田アカデミーの一年間のカリキュラムの中で、年間3回(春・夏・冬)の講習会は非常に重要な位置づけとなっています。学年やクラスによってカリキュラムは違うため、扱う内容も異なります。既習単元の復習を中心的に扱うクラスもあれば、未習単元の先取りに時間を割くクラスもあります。ただ、どちらの場合も通常期の授業よりも集中的に、さらに長い時間の授業が展開できますので、普段はなかなか扱えない部分に焦点をあてた指導を行うことができます。
通常期の小学生の授業は一週間ごとに別単元を扱いますので、どうしても「追われて」いるようなイメージになってしまいます。算数を例に出せば、教わった解き方を覚えて、それを使って答えを出す……そんな学習スタイルになってしまうのは、ある程度は仕方のないことだと思います。ただ、講習会では、その解き方の本質的な理解を深めたり、解き方の先にある考え方に踏み込んだり、というような「考える力」を養うような内容にまで進むことができるのです。
「自分で考える力」をつけるということは、中学受験学習の一つの目的であり、難関校の合格を勝ち取るためには必要なことであるというのは、以前にもこのブログに書かせていただきました。その力は中学入試に必要なだけではなく、将来大学に進学するときにも、大学で学ぶなかでも、そして社会に出てからも必ずや役に立つもののはずです。
「考える力」を養うために、早稲田アカデミーの授業では、生徒の思考力を喚起するために発問(問いをなげかけること)を行っています。『ここがこうなるから・・・このカッコに入る数字は・・・さて!なんだろう?』というような問いかけです。このような発問をしたときに、その問いに答えようと頭が回転し考えはじめる生徒もいれば、回転がストップしてしまい『誰か答えてくれないかな』『先生、早く答えを言ってくれないかな』というような顔をしている生徒もいます。
「自分で考える力」を身に付けるためには、どんなに難しい問題でも諦めずに自分で考えるクセをつけていくことが大切です。もちろん、中学受験カリキュラムで学習していく問題の全てを自分だけの力で解ききることは不可能です。いくら考えても(その時点では)できない問題もあるはずです。しかし、試行錯誤しながらその問題を考えることで、「自分で考える力」はだんだんとついていくものです。毎週のテストを受けることで学力が上がると言われるのは、小学生にとって一番真剣に問題に取り組むのはテストを受けているときだからです。誰の助けも借りずに自分で解かなければならない緊張感と真剣さの中で、「自分で考える」ことを覚えていくのです。
また「自分で考える力」を養うためには、お子様が質問をしてきたときの対応の仕方も重要です。質問をすることそのものは悪いことではありません。ただ、質問をして、解説を聞いただけで安心してしまい、「わかったつもり」になるのは、よくないことなのは言うまでもありません。できない問題をそのまま放置しておくことよりも、わかったつもりになってしまうことのほうが、ときには危険であることもお分かりいただけると思います。
算数の質問を例に、ご家庭でお子様が質問してきたときの対応を考えてみます。 まず、お子様が質問を持ってきたら、どのような問題であったかを問いかけてみてください。たとえば、文章が長かったり、パッと見ただけで難しそうに感じたりして、その時点で考えることを止めていたとしたら、その問題の内容を正確に答えることができないはずです。本気で解こうと考えていたのであれば、テキストなどを見なくても、数字なども含め答えられるはずです。この時点で、ちゃんと考えていないとわかったら、『もう一度考えてきなさい』とつき返すのも一つの方法です。
ある程度まで、考えてきているようでしたら、どこまで考えてきたのかをもう一度説明させます。どんな図を書いてみたのかを再現させてみるのもよいでしょう。そして、その思考過程まで説明できれば、ほとんどの場合、そこからは簡単です。気がついていない点に関して一つふたつのアドバイスをすれば、正解までたどりつきます。
その問題の内容をきちんと理解しているかどうかの確認をすること。次に、どのように考えたかを説明させること。最後にそこから正解にたどり着くまでの道筋をアドバイスしてあげること。これが質問に答える正しい方法です。実は、一から説明をしてしまった方が時間はかかりませんし、教える側は楽なのですが、その問題で正解をすることよりも、「自分で考える習慣をつける」ことの方が大切なのだとご理解ください。
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