四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『思考力を育てる② ~セミナーのご質問にお答えします~』

2024.06.21

先週実施させていただいた「クローバーセミナー」のアンケートにお書きいただいたご質問にお答えしています。今回のアンケートで一番多かったご質問は、一言でまとめると「思考力を鍛えるための方法」についてのご相談でした。前回の記事では「わからなければすぐに解答を求める」という学習姿勢を変えていくことが大切だと書かせていただきました。今回はその続きとなります。


中学受験学習の問題は、習ったらすぐに「できる」問題ばかりではありません。机の上のノートに向かってスラスラと鉛筆が動いている時間は、「考えている」わけではなくて、問題を「解いている」時間なのです。では、本当に「考えている」時間はどういうときなのでしょうか。実は「勉強しているようには見えない時間」も、お子様の頭は回転しているのだと、私は考えています。以前にも書かせていただいたことがあるのですが、一見すると「ボーっとしている時間」も大切な時間だと思うのです。


「ボーっとしている時間」にお子様の頭の中はどうなっているのでしょうか。頭の中も「ボーっと」してしまっていて、なにも考えられていないという時間もあるでしょう。ただ、そういった時間も人間にとっては必要なのだと思います。大人でも疲れてしまって、なにも考えることができない時間はあるはずです。しかし、お子様がボーっとしているように見えるときは、そんな時間だけではないはずです。外見的には「ボーっと」しているように見えていても、実は頭の中はぐるぐると回転していることもあるはずです。そんなときにこそ、お子様の思考力は伸びているのだと、私は考えています。


机の前に座って鉛筆が忙しく動いているときは、「きちんと勉強している」ように見えるので、保護者の皆様にとっては安心できるかと思います。しかし、前述したように、その瞬間は「できる問題を解いている」だけかもしれません。そのお子様にとって「簡単な」問題を処理しているだけの場合もあるのです。その時間は、作業処理力(すばやく正確に処理をする力)のトレーニングにはなっていても、思考力を高める時間とはなっていない可能性があります。


一方で、難しい問題にぶつかって、少し考えた後で、「もういや!もう無理!」と言って(もしくはそんなことも言わずに)ソファに転がりこむという場面をご覧になったことはありませんか。そんなときには「何をやっているの!?ちゃんとやりなさい!」というような言葉をかけたくなるのもわかるのですが、ちょっと待っていただきたいのです。ソファの上で、お子様の頭の中はすごいスピードで回転しているかもしれません。いま読んだ問題を反芻し、授業で教わったことやテキストの中の似ている問題を思い出しながら、どう考えていけば正解に少しでも近づくことができるか、その道筋を考えている。結果として、正解にはたどり着かずに、そのまま眠ってしまうことがあるかもしれませんが……。


小6のクラスで少し難しい問題を扱って、「次回までにしっかり考えてくること」という宿題を出すことがあります(この手法を私はよくとるのですが……)。次の授業前にある生徒がきて、「先生!あの問題、わかった!」とうれしそうに報告してくれました。彼女は算数が得意な方ではなかったのですが、難しい問題が自分の力で解けたことが本当にうれしかったようで、満面の笑顔で自分の考えた道筋について説明してくれました。きちんと考えられていて正解だったので、「どうやって考えたの?」と尋ねたら、「学校の帰り道に考えついた」という答えが返ってきました。彼女は、その問題を頭の中でずっと考えていたようです。


「解き方」を覚えて、それを当てはめて問題を解くという作業だけを繰り返していても、本質的な思考力が大きく伸びていくことはないでしょう。すぐには解けないような問題に立ち向かい、「真剣に」考える時間が、「思考力」を伸ばすためには必要だと思います。小学3年生から4年生までに、この「考える習慣」を身に付けておくことが、高学年になって大きく伸びるためには必要なことだと、私は考えています。

同じテーマの最新記事

2024.06.21 『思考力を育てる② ~セミナーのご質問にお答えします~』
2024.06.19 『思考力を育てる① ~セミナーのご質問にお答えします~』
2024.06.14 『梅雨入りが遅くなっているようです』
2024.06.12 『低中学年から意識する「夏」の過ごし方』
2024.06.07 『協働力と他者理解、子どもの価値観』
資料請求はこちら
早稲田アカデミー