『思考力を育てる① ~セミナーのご質問にお答えします~』
2024.06.19
先週の金曜日(6月14日)に「銀座ブロッサム」ホールにて、今年度第1回目となる「クローバーセミナー」を実施させていただきました。非常に日射しが強かった日で、日傘をさしてお越しいただいた方も多くいらしたようです。30度を超える「真夏日」となっていたようですが、多数の方にご参加いただき、本当にありがとうございます。
「クローバーセミナー」に関しては、さまざまな切り口でお話しできるように準備をさせていただいております。私は「子どもの育て方」や「学習法」などに関して、いろいろな書籍や資料で勉強はしておりますが、セミナーでお話しさせていただいているのは、そういったものの「受け売り」ではありません。私のこれまでの指導経験などをもとにお話しさせていただいています。学習や勉強という観点だけでも、さまざまなやり方が存在しています。もし「こうすれば絶対に成功する」というような方法があれば、それをやりきればよいのですが、実際にはお子様の性格やタイプ、成長度合いによって、最良の方法は異なります。セミナーの中では、具体的にどのようなやり方があるかというご紹介もしているのですが、併せてどういった視点を持って「やり方」を選択すればよいか、という点に対する保護者の皆様へのアドバイスに重きを置かせていただいおります。
セミナーではアンケートをご記入いただいています。「もしご質問やご相談がございましたら、アンケートにご記入ください。ブログでお答えさせていただきます」とお話しさせていただいており、多くの方にご記入いだきました。一通り目を通させていただきましたので、今回からいくつかのご質問にお答えさせていただきます。
今回のアンケートで一番多かったご質問は、一言でまとめると「思考力を鍛えるための方法について知りたい」というものでした。具体的には下記のようなご記載が多く見受けられています。 「難しいと感じると、すぐに考えることをやめてしまう子なのですが、どのように接していけばよいでしょうか(小4男子)」 「勉強については、自分で考えることができるように(自走していけるように)なってほしいと思っているのですが、どうすればよいでしょうか(小3女子)」
上記のようなご相談は、たぶんいまやっている学習、特に算数の「思考型問題」や国語の「記述問題」に取り組んでいるときのお子様の様子をご覧になってのことだと思います。ただ、今回はもう少し先まで見据えて「思考力」というものを掘り下げてみたいと思います。
中学入試でも「思考力」を試される問題が増えています。しかし、それは単に中学校に合格するためだけに養う力ではありません。将来大学で学び、社会に出るために、必要になる「思考力」を小学生から高校生までで育てているのだと、私は考えています。いま取り組んでいる問題には「正解」が用意されています。しかし、大学で学ぶ(研究する)問題には「正解」が用意されていないものが多くあります。さらに社会に出てから直面する「問題」には、まず「正解」はありません。「正解」が用意されていない問題に対しては、自分の力で考えられる「思考力」が必要になります。中学入試で「思考型問題」が増えているのは、「自分で考える」ための土台ができているかが試されているのであり、さらに中高一貫の学習の中で、その「思考力」をさらに育てていくのだと考えています。そして、いまはそのためのトレーニングをしているのだとご理解ください。
そのためには、「わからなければすぐに解答を求める」というような学習姿勢を変えていくことから始めるのが大切だと思っています。中学入試のための学習は、習ったらすぐにできるようなレベルのものではありません。解けない問題があれば、なんとか「答え」を出して「すっきり」したいというお子様の気持ちもわかるのですが、「解き方や答え」だけを教わって「わかった気持ち」になるのは、よいことではありません。たとえ間違ったとしても、自分でできるところまで考えていくことが、「考える力」を身に付けるためのトレーニングなのだとお考えください。保護者の皆様にとっても、テキストにすべてマルがついていれば、テストで満点が取れていれば、きっと安心できることでしょう。間違えた問題も解きなおして、すぐに答えが出せれば安心できるでしょう。しかし、小学校の教科書とは違って、入試に向けたテキストやテストの中には「すぐには答えが出せない」ものも多く含まれています。そういった問題に対して、どれだけ自分であきらめずに取り組み続けられるか、「思考力を育てる」ためのスタートラインはそこからだと考えています。 「思考力の育て方」、次回に続きます。
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