『昭和時代』
2017.12.06
早稲田アカデミー(四谷大塚「予習シリーズ」)のカリキュラムでは、小学5年の9月から2月の6か月間で「日本の歴史」を学習することになっています。私が社会を担当するときは、細かい知識よりも全体の流れを把握することに重点をおいていました。毎週新しい時代を学習していきますので、ともすれば知識を覚えていくことで精いっぱいになってしまい、大きな時代の流れの理解がおろそかになってしまうケースがあります。たとえば、各時代の細かい知識は覚えているのに、「平安時代」と「鎌倉時代」の前後関係がわかっていない、というようなことがまれにあるのです。まずは、大きな流れを理解し、そこから細部へという学習が、特に歴史においては大切だと考えています。
ちょうどいま、5年生たちは「江戸時代」の終わりから「明治時代」の学習を進めているところです。12月に「大正時代」が終わり、1月には「昭和時代」という単元が予定されています。初めて「昭和時代」という文字を見たときには、「昭和が『時代』になってしまったのか」と感じてドキッとしました。私自身が「昭和の人間」だと思っていたので、まるで「時代遅れ」になってしまったような気がして……。
ただ、ふと考えてみたときに、私の人生の中でも、すでに「昭和」を生きていた時間よりも「平成」を生きていた時間の方が長くなっていることに気がつきました。ということは、私も「平成の人間」ということになるのかな、とも思うわけです。
先日、現在の天皇の退位が再来年の4月末に決まったという報道が流れました。「平成」という元号を使うのもあと1年と少しということになります。もう少し経つとテキストに「平成時代」という単元が生まれることになるのでしょう。
「昭和」から「平成」に移り変わったときのことを思い出しました。当時、私は日本に住んでいたのですが、両親が北欧で暮らしており、「昭和の終わり」の日本の状況やヨーロッパでの反応を国際電話で話していました。「昭和天皇の崩御はこちらでも大きく報道されていて、会う人ごとにお悔やみを言われる」と父親が話していました。そして「自分が『日本』という国の人間であることを強く意識させられた」と言っていたのを覚えています。
5年生のお弁当の時間に、「江戸時代は何年続いた?」という質問をしてみました。「えっと……260年くらい」と頭の中で計算して答えてくれました。次に「江戸時代が終わってから今日までは何年?」と聞いてみたところ、「明治維新150周年!」と答えてくれた生徒がいました。
そうなのです、江戸時代の始まりから終わりまでよりも、江戸の終わりから今日までの方が100年ほども短いのです。“鎖国”の影響もあるでしょうが、江戸時代には文化は成熟しても、文明や科学の進歩のスピードは速くはなかったのでしょう。そして、その後の150年の進歩のスピードは目覚ましいものであったのだと感じています。そう考えると、いま目の前にいる生徒たちが社会に出て活躍する20年、30年後にはどんな世界になっているのでしょうか。
想像できないほど進歩した世の中で、生徒たちが大きく広く飛躍していく姿を思い描きながら、今日も授業をしております。
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