『決められた時間の中で……』
2019.05.10
小6受験生によく話をするのが、「入試では制限時間の中で問題を解き、合格点を取る必要がある」ということです。じっくり時間をかけて考えれば、志望校の入試問題で合格ラインをこえるのはそれほど難しいことではないはずです。しかしテストである以上、必ず制限時間が設けられていて、いかにしてその時間内で自分の実力を最大限に発揮できるかという点が問われるわけです。受験直前期(小6の夏以降)になれば、入試問題の時間配分の考え方、取り組む問題の取捨選択、といった「入試問題を解くためのテクニック」的なものも教えていきます。ただ、非受験学年の間にはそういった考え方までは必要ありません。それよりも「決められた時間の中で集中して問題に取り組む」という方向でお考えいただいた方がよいと思います。
「タイムトライアル」という言葉を使うことがあります。もともとはスポーツ(自転車競技)用語のようですが、時間を計測しながら行うトレーニング、もしくは制限時間を設けてトレーニングを行うこと、というような意味で使われているようです。
小学生の家庭学習においても、この「タイムトライアル」を行うことをおすすめすることがあります。上記のように、最終的なゴールとなる中学入試で、時間内で「自分にできる問題」をやりきるというために、「より効率的な方法を選択する」という視点を持たせるためにも効果的な学習方法です。さらに、小5以上になれば、必然的に家庭学習で必要な学習量も増えてきます。一週間の中で、宿題をやりきるのが大変になってくる場合もあります。そこで重要になってくるのが、「時間あたりの学習密度」です。私は小5の学習オリエンテーションで、次のような話をしています。
「昨日、A君は1時間勉強しました。B君はその倍の2時間勉強しました。どちらがエライでしょう?」 生徒たちは口をそろえて、「B君!」と答えます。そこで、次の質問です。 「では、1時間勉強したA君と2時間勉強したB君、終わった量が一緒だったら、どうかな?」 生徒たちは首を傾げはじめます。
そうなのです。同じ量の学習を行い、その成果が一緒ならば、短時間で行えた方がいいのです。時間は有限ですから、与えられた時間の中でどれだけの学習量をこなすことができるかは、特に受験学年になると、非常に重要な学習ポイントになってくるのです。この「時間あたりの学習量」を増やすために、低学年の間に効率のよい学習を経験させることが必要だと考えています。
もちろん、「じっくりと取り組むべき」課題もありますので、すべての学習の時間を計ったり、制限時間を設けたりするのはおすすめできません。一方で、毎日行うような決められた課題(早稲田アカデミーの小3・小4生であれば「ウィークリーコンパス」や「予習シリーズ計算」など)は、「タイムトライアル」的な考えで利用するのは効果的です。初めから制限時間を設けるよりも、まずはかかった時間を記録するところから始めていただくのがよいでしょう。ページの右上に「○○:○○~○○:○○」というように、始めた時間、終わった時間を書くところからがスタートです。それによってお子様自身も「今日はどれくらい時間がかかった」という意識が生まれてくるはずです。次の段階として、ある程度所要時間が定まってきたら、次には目標となる制限時間を設けるようにしていくと、お子様のやる気向上にもつながるはずです。
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