四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『いま、なにを身に付けるべきか』

2019.09.13

ここ数回の記事では、私が生徒を指導するにあたって「心がけていること」について書かせていただいています。前々回は「むずかしいことを簡単に教える」、前回は「生徒の気持ちを共有し、共感する」というテーマでした。今回は、「教えるべきポイントをしぼる」という視点について。


中学受験カリキュラムでは、毎週新しい単元の学習を進めていきます。どんどん新しい事項が出てきて、追いかけられているような「せわしなさ」を感じているお子様もいるのではないでしょうか。セミナーなどでも触れさせていただいているのですが、毎週出てくる内容を完璧に定着させなければならないわけではありません。早稲田アカデミーのカリキュラムでは(もしくは多くの難関校向け進学塾のカリキュラムでは)、同じ単元が少しずつ範囲を広げ、レベルを上げながら繰り返し出てくるようになっています。そのため、再度学習する機会が必ずあるわけです。言ってみれば、「積み残し」が前提となっているカリキュラムなのです。「なんとなくわかってはいるが、自分ではまだできない」という部分を私は「積み残し」と表現しているのですが、その内容を1度経験しておくことで、次にその単元が出てきたときに定着が進むように、カリキュラムが組まれているとお考えください。


さて、上記のように「積み残し」が前提となっているわけですから、すべてのことを完璧に教え込む必要はありません。お子様の習熟度によっても異なりますが、テキストに載っている問題をすべて完璧に仕上げる(演習から解説まで)のは、時間的にも難しいですし、なによりもお子様にとって大きな負荷がかかってしまいます。当然、教えるべきポイントを絞ることが大切になるのです。そのときに考えるのが今回タイトルにした「いま、なにを身に付けるべきか」という視点です。


たとえば、国語では、毎回学習テーマが絞られています。ちょうどこの時期(9月前半)の小4カリキュラムでは「説明文」を扱っていますので、それを例にとってお話ししましょう。予習シリーズ第2回のテーマは「接続語・指示語」です。説明文では非常によく出題される単元です。接続語も指示語も、どちらかというと文章中の細かい範囲(細部)を丁寧に読み込むことで正解にたどりつけます。一方で、第4回で扱う「要旨」は文章全体の把握が必要なテーマです。しかし、それぞれの回のテキストやテストの設問はそれらの(その週に扱うテーマの)問題だけで構成されているわけではありません。「接続語・指示語」の回の設問に、文章全体を把握するタイプの問題も出題されているわけです。もちろん、そういった問題も解かせ、解説もするのですが、どこに解説(指導)の重点をおくかは、その週ごとに変えなければならないのです。


算数の話もしておきましょう。小3で「和差算」と「分配算」が出てきます。この単元を初めて扱うときに心がけているのは、「線分図をきちんと書かせる」というポイントです。まずは数量を線の長さで表すことに慣れさせ、次にどの長さが等しいのかをきちんとわかるように書かせる、ここまでが第1段階です。その週に定着させるべき最低限かつ最大のポイントです。ただ、これだけでは自分で文章題を解き切る(正解まで行きつける)ようにはなりません。自分で解けるようになっていなければテストで得点をとることができませんから、学習に対するモチベーションも下がってしまうはずです。そのため、次のテストで高得点を取れるようにしていくことも必要です。それが第2段階ということになります。この第2段階からは、クラス・生徒によって扱うべきレベルが変わってきます。第1段階までで基本的な問題が解けるようになっている生徒にはもうひとつ上のレベルの問題にチャレンジさせ、基本的な問題を自分で解くところまでいっていなければ、それを反復して演習させるというようにします。


ご家庭で学習をご覧になる場合(特に小3・小4では)、その週のポイントが定着しているかどうかという視点をお持ちいただくのがよいと思います。ポイントはわかっているようだがミスで解けていない、応用的なところまでたどりつけていない、というような場合は大きく心配されることはないでしょう。ただ、保護者の皆様にとっては、そのポイントがどこにあるかという点がわかりにくい場合もあると思いますので、ご不安な場合は担当の講師までご相談ください。

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