『秋眠暁を覚えず』
2019.09.04
“春眠暁を覚えず”という言葉がありますが、秋も眠くなることが多くありませんか。9月の初めはまだ残暑を厳しく感じていても、これから暑くもなく寒くもなく、寝苦しさなども感じずにいられる時期になると、なんとなく眠くなりやすくなる気がします。これについては、季節の変わり目で体調を整えるために身体が睡眠(休息)を欲しているとか、夏の疲れが出るとか、さまざまな説があるようです。
小学生のお子様からも、秋になると眠くなるという話をよく聞きます。特に小6受験生は……。私も小6生の秋の保護者会では「これからの時期、眠くなるお子様が多くなります」という話をさせていただくことが多いので、今日はその話について書かせていただこうと思います。
実は、受験生がやたらと眠気を感じるのは“現実逃避”の場合も多くあるのです。もちろん、学習内容が高度になり、授業での学習密度も高くなっていますから、頭が疲れてしまって休息を求めていることも考えられます。しかし、ある程度きちんと睡眠をとっているにもかかわらず眠気が続くような場合は“受験に直面する現実から逃げてしまいたい”という無意識から生じている状況の可能性があります。とはいっても、それは特別なことでも、困ったことでもありません。受験生であれば多かれ少なかれ経験するものです。
保護者の皆様にも経験があるのではないでしょうか。高校や大学でのテストの前、一夜漬けでなんとかしなければならないときに(一夜漬けなどはしない方がよいものですが……)、やたらと眠気を感じたことはありませんか。もしくは、“ちょっと気分転換に”と手に取った文庫本に引き込まれて、時間を忘れて読みふけってしまったことはありませんか。この眠気も読書に引き込まれる意識も、ある意味“現実逃避”なのです。
眠ってしまえば、とりあえず“明日のテスト”は忘れられます。読書に没頭している間も同じです。直面しているつらい現実から、ちょっと逃げたいという気持ちの1つの現れということができるでしょう。現実逃避に最適なのはゲームだといわれることもあります。それは、ゲームの中の仮想世界に“逃避”をすることで、現実から距離を置きやすいからなのです。
一方で、学習面において睡眠は非常に重要なものだそうです。学習した内容をきちんと記憶として定着させるためには、しっかりとした睡眠が欠かせません。その点でも夜の就寝時間を決めて、その時間になったらきちんと寝るようにしましょう。当たり前ですが、受験生だけではなく、小3・小4のお子様にとっても生活習慣を整えることは大切です。そして、夜きちんと寝るためには変な時間帯に“昼寝”の癖を付けない方がよい、と私個人としては感じています。大学受験生のときに「眠くなったら10分ほど休んで(寝て)起きると頭が冴えている」という話を聞いたことはあるのですが、それはあくまで高校生くらいの生徒に向けた話でしょう。小学生の場合は、毎晩十分な睡眠をとることが、体の成長のためにも、頭の成長のためにも必要なことだと考えます。
“現実逃避”の眠気というのは、勉強しているときに襲ってくる場合が多いものです。そんなときには、ちょっと飲み物を飲んだり、顔を洗ったり、誰かと少し会話をしたりすることで、眠気は覚めていくはずです。お子様から「眠い……」と相談されたときには、そんなアドバイスをしていただくとよいのではないでしょうか。
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