四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『考える時間が思考力を育てる②』

2020.05.15

前回の記事からの続きとなります。
前回は、「考える」のは机の前に座っているときだけではなく、いろいろな場面でお子様の頭の中はぐるぐると回転している……そんなことを書かせていただきました。


小6のクラスで少し難しい問題を扱って、「次回の授業までにしっかりと考えてくること」という宿題を出したことがあります(この手法を私はよくとるのですが……)。次の授業の前に、ある生徒がきて、「先生!あの問題、わかった!」とうれしそうに報告してくれました。その生徒は算数があまり得意な方ではなかったのですが、難しい問題が自分の力で解けたことが本当にうれしかったようで、満面の笑顔で自分の考えた道筋について説明してくれました。「どうやって考えたの?」と尋ねたら、「学校の帰り道に考えついた」という答えが返ってきました。彼女は、その問題をずっと頭の中で考えていたようです。


以前にも書かせていただいたことがあるのですが、私がこのブログの記事のテーマを考えるのは、朝出勤前にシャワーを浴びているときです。原稿締め切り日の朝、シャワーを浴びながら考え始めるのが習慣になっています。考えついたテーマに沿って、文章構成を練るのはたいてい校舎までの電車の中で、校舎に着いたらパソコンを使って書くだけです。校舎にいるときは電話がかかってきたり、職員から相談があったり、なかなか集中して「考える」ことができないという理由もあるのですが。


保護者の皆様も、同じような経験や習慣をお持ちの方が多くいらっしゃるのではないでしょうか。日常的な生活習慣の中で身体を動かしながらも、頭の中は別のことを考えているようなことはありませんか。たとえば、キッチンで洗い物をしながら、お仕事のことや夜の献立を考えている、など。


日常で慣れている動作や単純作業をしているときなどは、別のことを考えている場合が多いように思います。一方で、考えることに集中しすぎてしまうと、作業の方がおろそかになってしまうこともあるかもしれません。私もつい先日、歯磨き粉を付けずに歯を磨いてしまいました。お子様も同じようなことがあるかもしれません。食事のときにソースと醤油を間違えてかけてしまったりとか、翌日の学校の準備をしているときに、曜日を間違えて教科書を入れてしまったりとか。「うちの子は注意力散漫で……」というお話をうかがうことがあります。その際、お子様の頭の中が別のことで回転しているために、手元がおろそかになっているという可能性を指摘させていただくことがあります。日常生活や習慣の中での「注意力散漫」と、授業中の「注意力不足」とは、少し違う場合もあると考えています。


勉強や学習において、普段から考える習慣を付けるためには、「すぐに解決する」ということを求めすぎてはいけません。塾での学習内容は(家庭学習課題も含めて)、その学齢のお子様にとってすぐにできるものばかりではありません。小学校での学習内容は「その学齢の生徒であればできる」ということを前提に組まれていますが、塾のカリキュラムやテキストは違います。つまり、パッと見てすぐに解ける問題ばかりではないわけです。「難しい」と感じた問題について、頭の中で「考え続ける」習慣をお子様がつくれるように、ご家庭でもお話しいただければと思います。「わからない」と思ったときに、「誰かに聞いて解き方を教わる」「解答・解説を見てわかったつもりになる」という学習ではなく、「できるまで考えてみる」という方向に進めていただければと考えています。

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