四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『問題文をきちんと読む ~ケアレスミスへの対処~』

2020.05.08

ゴールデンウィークが終わりました。皆様はいかがお過ごしでしたでしょうか。テレビをつければコロナウイルス関連の話題ばかりで、かといって外出するわけにもいかず、という中で例年とは違う連休になっていたのではないでしょうか。私もほとんどの時間を家の中で過ごしていました。買ったままになっていた本を紐解いたり、昨年の夏に使ってから放置していた楽器のメンテナンスを行ったり、着なくなっていたスーツを整理したり……そんなゆったりとした時間を過ごしていました。6月に実施を予定しているセミナーの構成を考えたり、ブログの原稿の話題をメモしておいたりという「在宅での仕事」の時間もとったりしていたのですが……。


いまご家庭でお子様と一緒に過ごす時間が多くなっている中で、お子様の学習についてさまざまお気付きになられているのではないでしょうか。漢字の暗記学習に多くの時間がとられていたりとか、計算のスピードが思ったよりも速かったりとか、そんなところに気が付かれている方もいらっしゃると思います。「ミス」についても気になるのではないでしょうか。そこで今回は、「ミス」について書かせていただきます。


人間である以上、「ミス」はしてしまうものです。ひとつも「ミス」をしない完璧な人間はいるはずがありませんから、「ミス」をすることそのものを否定する必要はないでしょう。ただ、同じような「ミス」を繰り返すのはよくありませんし、「ミス」をしないように注意深くなることも必要です。そのためには、自分が(お子様が)どのような「ミス」をしがちなのか、そしてその要因は何か、といった点を意識することが大切です。


「あるクラスの生徒に一人2枚ずつシールを配ったところ92枚余りました。さらに3枚ずつ配ったところ4枚不足しました。クラスの人数は何人でしょう」という問題があります。小学校5年生で学習する「差集め算」の基本問題です。


ある生徒の解答です。
2枚ずつ配ったときのあまりは92枚、3枚ずつ配ったときの不足は4枚
2枚ずつ配るときの必要数と3枚ずつ配るときの必要数の差は……92+4=96(枚)
一人に配る枚数の差は……3-2=1(枚)
96÷1=96(人)


いかがでしょうか。この解答の中の「ミス」はわかりますでしょうか。解説にはこういう式と答えが書いてありました。
(92+4)÷(5-2)=32  答え 32人


もう一度、じっくりと問題を読んでみてください。ポイントになるのは「さらに」という一語です。この問題では「一人に2枚ずつ配ったあとに、さらに追加で3枚ずつ配った」という状況になっているのです。ただ、「ミス」をした生徒は「一人に2枚ずつ配ったあとに、(すべてを回収してから)新たに3枚ずつ配り直した」という状況だと考えて、問題を解いてしまったわけです。問題の前提を読み間違えてしまっているので、当然正解にはたどりつきません。「2枚のあとに追加で3枚、だから一人がもらったのは5枚」という条件を読み取れていませんから、解説の式に出てくる「5」という数字の意味も理解できないわけです。


さて、ポイントになるのはこの問題の解説が理解できたあとで、どう考えるかということです。単に「問題を読み違えていた」だけであれば、算数として「差集め算」の考え方はできていたことになります。ですから「考え方は合っていたので大丈夫」ととらえてしまうお子様が多くいます。実はそのように考えてしまうと、同じような「ミス」を繰り返してしまうのです。「問題文を細部まで注意深く読む」「細かい表現の意味を考える」という点に注意をするようにならなければ、こういった「ミス」を減らしていくことにはつながらないのです。


算数で「ミス」というと「計算ミス」が一番に挙げられます。そのミスの要因はいくつか考えられますから、どのような要因でミスをしているのかを分析することで、はじめて改善に向かうのです。ただ、計算ミスは学年が上がることで、さらには計算テストや計算ドリル(予習シリーズ計算など)を繰り返すことで、少しずつ改善されていくものです。


しかし、ここで紹介したような「問題文の読み間違い」「条件の誤認識」といった「ミス」は意識しないとなかなか直らないものです。「解き方は合っていたから大丈夫」と終わらせてしまうのではなく、「次はきちんと問題を読もう」と考えられるようになり、その意識をもって問題を解くトレーニングを繰り返すことで、改善されていくはずです。

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