『映像授業に集中するために』
2020.05.01
コロナウイルス感染症に関しては、「緊急事態宣言の1カ月程度の延長」が検討され、予断を許さない状況が継続しています。
また、学校の休校期間が長期化している(長期化が予測される)中で、「9月新学期案」も出てきています。「9月新学期案」に関しては、コロナの影響による休校措置で急に話題になったわけではなく、ここ数年議論されていたものであることは皆様もご存知かと思います。数年前(調べてみたところ2011年でした)には、東京大学が2015年からの「秋入学」プランを発表して話題になりました。当時は難関大学を中心に賛同するところも多かったようですが、結果として導入されることはありませんでした。世界的には「秋入学」がスタンダードということから、グローバル化・国際競争力向上という視点を中心に検討されていたようです。確かに他国の大学・学校との交流という点を考えると、同じ時期に学期が始まる方がよいというのはわかります。卒塾生でもアメリカの大学に進学する際に、4月から夏までの期間を無駄にしたくないため、日本の大学にいったん入学をしておいて、一学期で退学し、秋からアメリカの大学に入学をしたというケースも聞いたことがあります。私の父もヨーロッパの大学に交換教授として赴任する際にも、「半年間の研究期間」といった時期を過ごしていました。
一方で、現在の日本社会に「秋入学」が適切かどうかという点も疑問視されているようです。単に学校の入学時期の変更だけではなく、社会全体に大きな影響がある変革であるだけに、より慎重な議論が必要であるという意見も多いようです。確かに十分な議論をせずに性急に導入することで、後からさまざまな問題が生じてくる可能性もあるように思います。
保護者の皆様も、そして何より自身の問題である受験生たちも、いろいろな思いや不安があることかと思います。いま私が考えているのは、入試制度や入試時期がどのようになろうとも、生徒の皆様がしっかり前向きに学習に取り組み、次のステージで生かせる「学力」を身に付けて進学してもらいたいということです。早稲田アカデミーは進学塾ですから「成績を伸ばして志望校に合格させる」という大きな役割があります。「志望校合格」という点を考えれば、ゴールである入試制度や時期が変われば、年間スケジュールやカリキュラムを変えていく必要があるかもしれません。一方で「成績を上げる・学力を身に付ける」という点で考えれば、一人ひとりの生徒にとって、必要な時期に必要な学習内容を効果的に提供していくという点は変わらないと思うのです。この点において、早稲田アカデミーでは「本気でやる子を育てる」という教育理念のもと、生徒一人ひとりの「やる気」が学習に取り組むスタートラインだと考えています。
今、私たちができることは、このような状況下でも生徒の皆様が、毎日の学習を「安全に」そして「前向きに」継続していただける環境を提供していくことだと考えています。
さて、今、配信させていただいている「双方向Web授業」について、お子様方も慣れてきているようです。子どもたちの適応力・対応力の高さには驚かされます。逆に講師の中には、まだ慣れずに授業の進め方など試行錯誤をしている場合もあります。今までの授業の進め方のノウハウが生かせる場面もありますが、なかなかうまくいかない場面も出てきているようです。また、タブレット端末の扱いに慣れている講師がいる一方で、中にはデジタル系を苦手としている講師がいるのも事実です。映像配信授業の進め方などについては、各校舎で実施している工夫やノウハウなどを集約して、よりよい授業が提供できるように早稲田アカデミー全体で日々研鑽を続けているところです。タブレットの固定の仕方から、教室の照度(蛍光灯のちらつきをなくすための方法)、図や資料の使い方、聞き取りやすい話し方、などなど……さまざまな議論を進めております。保護者の皆様からもお気づきの点がありましたら、お通いの校舎までお気軽にご連絡をいただければと思います。
お子様方はオンラインの授業に慣れてきたことで集中力に欠ける場面が出てき始めているケースもあるようです。やはり、画面を見続けていることで目や首が疲れてしまうこともあるようです。我々もホワイトボードを使う場合にはなるべく大きく見やすい字を書くようにもしていますし、授業の切れ目に「ちょっと首を回してみよう」「グーっと伸びをしてみよう」といった行動を呼びかけたりもするようにしています。また、講義と問題演習のタームを少し短めにして、視点を変えるような工夫も話し合っています。ご家庭でもいろいろと工夫をしていただいているというお話も伺いました。スマートフォンをテレビに接続して、大きな画面で見られるようにしているというご家庭もあるようです。また、授業のときだけは、あえて普段の学習場所ではないお父様の机で視聴しているというお話も伺いました。座る椅子を変えるだけでも、お子様の学習姿勢や集中力が変わることがあるかもしれません。お子様のご様子をご確認いただき、集中できる環境での視聴・学習を意識していただければと思います。
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