『やるべきことが多くて……』
2021.09.24
「中秋の名月」がニュースで話題になっていました。新型コロナウイルス感染症に関しては、まだまだ予断を許さない状況ですから、引き続き用心していかなければなりません。校舎においても「絶対に気を緩ませないように」と職員たちに話をしているのですが、「満月・お月見」といった話題がニュースで取り上げられると、少し気持ちが明るくなったような気がしました。
感染症対策もありますが、それ以外の業務もあって、最近はとても忙しい日々が続いています。「やるべきこと、やらなければならないこと」がいっぱいで目が回るような状態です。
こう書くとなんか愚痴を言っているように思われるかもしれないのですが、そうではありません。「やるべきこと」があるというのは、幸せなことだと思っているのです。「逆」を考えてみるとおわかりいただけるのではないでしょうか。「やるべきこと」がない毎日は、とても味気ないものになってしまうように私は感じています。確かに、いまこの瞬間、10日間程度の「なにもやらなくてよい日々」ができて、南の島のリゾートでのんびり過ごすことができるとしたら、とてもうれしく感じると思います。しかし、それがずっと続くとなると……。実際に、いまの私に10日間の休みがあったとしても、きっと1日~2日だけしか「ゆっくり」としていられないように思います。
自分のことばかり書き過ぎてしまいました。「やるべきことがある」ことによって、「充実した日々を送ることができる」という点については、小学生にとっても同じだと思うのです。そして、「やるべきこと」の多くは「目標を持つ」ことによって決まると考えています。中学受験という大きな「目標」を持って、そこに向かって、日々「やるべきこと」をがんばっている小学生は、そういう点において「幸せ」なのだと思います。
「目標に向かって努力する」「目標に到達するためにやらなければならないことをがんばる」というのは、決して楽しいことばかりではないはずです。ときには「つらい」と感じることもあるでしょうし、投げ出してしまいたくなるときもあるでしょう。人生における経験の少ない小学生にとっては「どれくらいがんばったら、目標に届くのか」ということが見えずに不安になることもあるはずです。さらに、小学生では「自分がどれだけがんばることができるのか」ということもわかっていないのが普通です。
きっと毎日の宿題で大変な思いをしている生徒に「やるべきことがたくさんあって幸せだね」と言ったとしても、「えぇ~!?」と言われてしまうでしょう。ただ、長い目で見ればその充実した毎日はきっとお子様方の未来につながると考えています。また、毎日の生活の中でも「目標」と「やるべきこと」がはっきりしていると、生活面や精神面においてもよい効果につながることがあります。たとえば、小学校で友人関係のトラブルを抱えることがあります。大人から見ればたいしたことではなくても、子どもにとっては大きな悩み事となっている場合があるようです。そういった悩み事があったときにも、「目標」がブレていなければ、それが精神的な支柱となって立ち直ることができると思うのです。
「やるべきことがたくさんあって充実した日々」というのは、「やらなければならないことがあって大変な日々」というネガティブなとらえ方もできます。というよりも、毎日の生活の中ではそうとらえてしまうことの方が多いでしょう。たぶん、それはお子様方ばかりではなく、大人でも同じことだと思います。しかし大きな目標を乗り越えて振り返り、「達成感」とともにその日々を思い起こすとき、「充実」していたと感じることができるはずです。そして、それは大きな経験となってお子様の未来につながることでしょう。 中学受験という高いハードルへ向けた努力を積み重ねることで、得られる大きなものの一つが、この経験でもあると私は考えています。
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