『「やる気」と「モチベーション」』
2021.11.19
「うちの子は『やる気』がイマイチで……」というご相談をいただくことがあります。「最近、『やる気』が下がってきているみたいで……」「『やる気』を高めるためにはどうしたら……」、そんなお悩みをうかがうこともあります。今回は「やる気」とその根底にある「動機付け=モチベーション」について書かせていただきます。
「やる気」と「モチベーション」は、同じように使われることがあります。「やる気が高い=モチベーションが高い」というようなイメージです。ただ、私は少し違うとらえ方をしています。「やる気」は「取り組むための高い意欲」であり、その意欲をつくるための「動機」がモチベーションという考え方です。今回はその視点に立って書かせていただきます。
モチベーションは大きく二つに分けることができます。色分けが難しい「グレー」な部分も実はあるのですが、自分の内面から「やる気」が生まれてくる「内的モチベーション」と、外側からの働きかけによる「外的モチベーション」です。モチベーションにはこの二つがあることを意識しながら、お子様への接し方を考えると、お子様の「やる気」も変わってきますし、結果として成績にも表れてくるはずです。
わかりやすく家庭学習を例にとって書かせていただきます。 お子様が宿題をやるときの動機のひとつに、「宿題をやっていかないと先生に叱られるから」というものがあります。これは「外的モチベーション」です。しかし、「もっと成績を上げたい」という気持ちで家庭学習をしているとすれば、それは「内面から生まれてくるモチベーション」ということができるでしょう。お子様はどちらのモチベーションで机に向かっているでしょうか。もちろん、「内的モチベーション」を高く持って、学習を継続していくのはとても難しいことですし、小3・小4時点でそのレベルまでの意識を持っているお子様は少ないはずです。
「外的モチベーション」では、一時的にやる気が向上したとしても、なかなかそのやる気は継続しません。その理由はいくつかあるのですが、これも例を挙げてみましょう。「テストで○点以上だったら、欲しいゲームを買ってあげる」というのは、分かりやすい「外的モチベーション」の上げ方です。ただ、こういった「外的モチベーション」は、その目的を達成してしまえばそれで効果はなくなります。そして、同様の効果をあげようとすれば、さらにレベルをあげた「ごほうび」を用意しなければならなくなります。逆のケースでも、同じことがいえるというのはご想像いただけると思います。叱る場合でも厳しさを増していかなければ、効果は得られなくなってしまうのです。
さて、それでは「内的モチベーション」はどのようにつくっていけばよいのでしょうか。学習に対するモチベーションは一朝一夕にはできあがりません。大きな視点で、長期的な視野を持って考えることが必要になってくるのです。
私は中学入試を「ひとつの目標」でしかないと考えています。「目標」とは「目的」を達成するための「道標」と考えれば、いま学習していく「目的」はもっと先にあると思うのです。将来の大きな目的に向かって、そのひとつの通過点として中学入試を定めていく、そんなイメージでお子様方にお話しいただくのがよいと思います。もちろん、小3・小4のお子様がそれを完全に理解できるわけではないでしょう。しかし、お父様・お母様が自分の将来を本気で考えてくれている、そしてこういう方向に進むことを望んでいる、そんな思いが「内的モチベーション」をつくる土台になっていくと思っています。
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