四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『思考力を鍛えるために ~自己効力感と「本気でやる子を育てる」~』

2024.06.26

クローバーセミナーのアンケートのご質問にお答えする形で、「思考力を鍛える」というテーマで2回ほど書かせていただきました。その続きとして、今回は「思考力につながる土台」となる部分について、触れさせていただきます。


クローバーセミナーでは「難しい問題に直面したときに、考えるのをあきらめてしまう」生徒について、お話しさせていただきました。ちょっと難しいと感じただけで、考えるのをやめてしまい、他者に解決をゆだねるだけでは「思考力」は育たないという内容です。


「考えるのをあきらめてしまう」というお子様の心情の背景について考えてみてください。中には、「問題文が長くて、読むのが大変そうだから」というだけで取り組むのをやめてしまう場合もあるでしょう。言ってしまえば「面倒くさいから」という単純な理由です。そのようなときははげまして取り組ませればよいのですが、もう少し根が深い場合もあります。たとえば、「難しそうだから、自分には無理だ」、そんな風に感じて、考えるのをやめてしまう場合です。考え始める前から、もしくはちょっとだけ考えてみて、「もう無理!」と投げ出してしまうと、「思考力」は身に付かないでしょう。私は授業の中で、「ムリ!」「わからない……」といったネガティブワードは使わないように生徒たちに伝えています。


「自分には無理」と思ってしまう背景には、「自己効力感」の不足があると思われます。「自己効力感」は、「自己肯定感」と似ているワードですし、同じような使われ方がされている場合もあるのですが、厳密にいうと少し違います。「自己肯定感」は「ありのままの自分を肯定的・ポジティブに認めて、自身の価値を信じること」というようなイメージで私はとらえています。どちらかといえば、自分という存在をポジティブにとらえる感情的な側面だと思っています。一方で、「自己効力感」は「目の前の課題に対して、自分が(独力で)解決のために行動できると思えること」というイメージで、自分の持つ能力に対しての認識だと考えています。「自己効力感が高い」という状態を、わかりやすくいえば、「自分はやればできる」と感じている状態です。


早稲田アカデミーの「本気でやる子を育てる」という教育理念をご存じでしょうか。各校舎の教室には、この教育理念のポスターが貼られています。私は「思考力」を鍛えるためには、お子様自身が「本気」で学習に取り組むことが不可欠だと考えています。「暗記力」や「作業処理力」を鍛えるのであれば、「いやいや」でもやらせれば、それなりの力はつくでしょう。今から20年以上前の受験学習はそのスタイルが多かったように思います。しかし、「思考力」を鍛えるためには、自ら真剣に取り組むことが、絶対に必要なはずです。入試に(中学入試だけではなく、高校入試・大学入試にいたるまで)「思考力」が試される問題が増えてきていると言われていますが、早稲田アカデミーの入試結果が伸びているのは、この教育理念がその根底にある、そこから生徒の「思考力」を伸ばせているからだと、個人的には強く思っています。


「やる気につながる4つの感覚」という記事を以前にも書かせていただいたことがあります。簡単にご紹介すると、人がものごとに本気で取り組むためには、次の4つの感覚が必要だそうです。
①その行動に「意味がある」と思えること
②その行動を「自分で選択している」と思えること
③その行動によって「進歩している」と思えること
④その行動を「自分でできる」と思えること
中学入試へ向けた学習を進める中で、①と②の感覚は比較的感じやすいと思います。テストなどの結果についての評価の仕方で、③も持たせることはできるでしょう。そう考えると、一番のポイントになるのは④の「自分でできるという感覚」になるのではないでしょうか。前述した「自己効力感」がこのポイントになるわけです。


「自己効力感」をどのようにして高めていくか、という点については、次回書かせていただきます。

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