『パリオリンピック ~「君が代」と競泳ストローク~』
2024.07.12
気が付いたら7月も中旬となりました。7月26日に開会式が行われる「パリオリンピック」へ向けて、日本の各競技の選手団が現地に向かったというニュースも届き始めました。
オリンピックで使われる曲というと、各テレビ局のテーマソングを思い出す方も多いと思いますが、もう一つオリンピックで流される曲を今回は取り上げたいと思います。サッカーなどの試合開始時や、金メダルを獲得した際の表彰式で流される「君が代」です。「君が代」の作詞者・作曲者をご存じでしょうか。曲が作られたのは、明治3年にイギリス陸軍の軍楽隊長によってだそうです。
ところが、この曲が日本人の感性に合わないということで、再度新たに日本の雅楽調で作曲しなおされ、その後吹奏楽用にも編曲されなおしたのだそうです。そして作詞なのですが、実は「詠み人知らず」となっていて不明なのをご存じでしょうか。日本人でも、意外に知らない方も多いのですが、この詩は今から1,000年以上も前に作られたものなのです。平安時代に編纂された「古今和歌集」に初めて掲載されています。その後、「和漢朗詠集」にも取り上げられています。インターネットで調べてみたところ、「世界で一番古い国歌の歌詞」と書かれていました。
オリンピックを見るのは大好きです。スポーツ競技観戦は全般的に好きなのですが、「ひいき」のチームがあるわけではないので、オリンピックのように「自国の選手の活躍」を応援できるのは、とても楽しいです。最近、大リーグの話題がよく取り上げられていますが、それも「自国の選手を応援する」という日本人全体の気持ちによるものだと思います。
個人的には「競泳」をよく見ています。陸上競技も好きですし、サッカー・バスケット・バレーなどのチーム競技も大好きなのですが、自分が「競泳」を幼稚園から中学まで本気でやっていたので、いまでもよく見ています。小学生時代は、選手コースにも在籍していて、週に5日は泳いで、夏は10日間の「合宿」にも参加していました。本気でオリンピックに憧れていた時代もありました。中学生時代に、競泳選手になる夢はあきらめてしまったのですが、それからもスイミングクラブには通っていて、大学生時代にはそのクラブでコーチとしてのアルバイトもしていました。
そのコーチ時代の経験は、早稲田アカデミーの講師となっても活きる場面があります。校舎の保護者会でもお話しさせていただくこともあるのですが、「我流」の泳ぎ方を覚えてしまっているお子様は、スイミングクラブに通い始めても、なかなかタイムが伸びないことがあるのです。競泳の泳ぎ方では、手の動きを「ストローク」と表現します。この「ストローク」には、一連の流れがあります。せっかくなのでご紹介すると…… ①エントリー:手を前方に入水させる瞬間 ②キャッチ:手のひらで水をつかむ動作・感覚 ③プル:手のひらでつかんだ水を後方にかく動作 ④プッシュ:「プル」の後で、手のひらでつかんだ水を後方に押し出す動作 こんな流れになります。 初めてスイミングクラブに通い始めたお子様に、最初に教えるのはこの中の「キャッチ」の感覚です。具体的には、「エントリー」の後で、手首をグッと曲げて水を「つかむ」イメージを持たせるのです。まずは陸上でゴムロープを使って、「手首をグッと曲げる」というトレーニングをさせます。そして実際に水の中に入ってやらせてみるわけです。ここで差がつくのです。「我流」でも泳げるお子様は、水の中に入ると、いままでの自分の泳ぎ方で泳ぎ始めてしまいます。「手首で水をつかんで!」とプールサイドから声をかけても、なかなかその動きができません。一方で、(ほぼ)初めて「水泳」を教わるお子様は、教わった通りに「手が水に入ったら、手首をグッ」という動きをぎこちないながらも一生懸命やろうとしてくれます。この差が1カ月から2カ月後に「タイム」の差となって出てくるのです。単に泳ぐだけではなく、「競泳型」のストロークを身に付けたお子様は、ある程度泳げるようになってくると、「タイム」がグングンと伸び始めます。
中学受験に向けた学習にも同じようなことがいえます。たとえば、国語の文章読解においても、単に「読む」だけではなく、読解問題の基本的な「読解フォーム」を早い段階で身に付けておくことが必要です。さらに算数では、小2から小3で初めて出てくる「かけ算」「わり算」「小数」「分数」「単位換算」などの基本単元をどのように学ぶかで、その先に差が生じてくる可能性があるのです。
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