『いつから塾に通うべきか…… ~セミナーアンケートのご質問にお答えします~』
2024.07.10
先日実施させていただいた「クローバーセミナー」のアンケートをしっかりと拝見させていただきました。アンケート全体として、お話しさせていただいた内容に関しては、「わかりやすかった」というご評価をいただいているものがほとんどで、ホッとしております。次回は二学期に予定しておりますが、なるべく皆様にわかりやすく、さらに有用な情報をお伝えできるように、準備を進めてまいりたいと考えています。
さて、アンケートの中にいくつか「通塾を始める時期」についてのご相談をいただいておりますので、アドバイスさせていただければと思います。
「私(母)は小4から塾に通ったのですが、いまは小3から通った方がよいのでしょうか。あまり早くから通っても続かないのではと心配しています。(小3女子)」
私自身が中学受験のために四谷大塚に通い始めたのは、たしか小学5年生の二学期からでした。その頃の「予習シリーズ」で「小6の発展問題」として扱われていた問題が、いまは「小4の基本問題」に載っています。もちろん、私の時代は「ひと昔」ではなく「ふた昔」以上も前のことになりますが……。
中学入試自体はどんどん進化しています。一つひとつの問題が「複雑になって難しくなっている」というよりも、「より深く考えていく」タイプの問題が増えているというイメージでお考えいただくとよいかもしれません。単に「解き方」を覚えて「それを使って解く」という入試問題であれば、短い期間でも集中して学習に取り組むことによって対応できるのですが、「考える力を伸ばす」という視点に立つと、一定の期間以上の学習経験が必要になります。私のイメージとしては小3から小4で「考える力の土台をつくる」、さらに小4から小5で「入試に必要な単元を導入する」、小5の後半から小6にかけて「自分の力で考えて答えるトレーニングをする」というように考えています。整理をすると、以下のようになります。
小3~小4→「頭の中のタンスをしっかりとつくる。タンスにきちんとした『引き出し』をつくる」 小4~小5→「タンスの引き出しにきちんと知識を整理して入れていく」 小5~小6→「複数の引き出しを開けながら、組み合わせて考える、解くためのトレーニングをする」
今回のご質問で一番心配なさっているのは「早い時期からの塾通いは『続かない』のではないか」というところだと思います。校舎でもよくご相談いただく内容です。この点に関しての私の答えは決まっています。「早い時期からのスタートだからこそ『息切れ』しないとお考えください」と申し上げています。まず、このようにお考えになる保護者の皆様の意識の根底にあるのは、「勉強は大変だ」「勉強するのはつらい」「勉強させるのは子どもにとってかわいそうだ」というお気持ちなのではないでしょうか。実は小学校低学年から中学年(小3・小4)までの子どもにとって、塾の授業や宿題などは、決して「つらい」ものではないのです。新しいことを学ぶ、できなかったところができるようになるということは、子どもにとっては「つらい」どころか「楽しく」感じるものだとお考えいただければと思います。小3の授業の中で、難しい問題に取り組んでいる生徒たちの真剣な表情、できなかった問題の解説を聞いてわかったときのうれしそうな表情……本当に楽しんでくれているのがわかります。
一方で(言い方は難しいのですが)「勉強はつらい」「勉強するのはイヤだ」と思わせるのは簡単です。「がんばっていることを評価せずに、出てきた結果で(マイナスの)評価をする」「我慢が強いられるような学習方法をむりやりやらせる」というような接し方をしてしまうと、「勉強することの本質的な楽しさ」よりも「勉強はつらい」という印象が勝ってしまい、勉強や学習に対してマイナスの考え方がつくられるようになってしまうはずです。
中学受験カリキュラムでの学習を進めていく場合、小学5年生以上になると「大変な」内容、ときには「つらい」と思うような学習単元も出てきます。そういったときに自分の力で乗り越えられる生徒は、小3から小4時期に「学ぶことの本質的な楽しさ」を経験したことのある子どもなのです。
さらに、上記しましたように小3時点で「考える力の土台」が(完全にではなくても)ある程度できあがっていれば、「難しい」と感じるような問題に直面したときにも、それに対応できる力が身に付いているはずです。そういった点から「早期にスタートした方が『高学年になっても長続きする』『息切れすることがない』」と私は考えています。
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