『ひぐらしのなく頃』
2024.08.30
「真夏のピークは去ったようです」と言う言葉がテレビから聞こえてきたのですが、暑い日は続いており、まだ「夏の終わり」とは言えないようです。「夏の終わり」という言葉から「カナカナカナカナ」という蝉の鳴き声が連想されます。この蝉の「声」を聴くと、なんとなく夏の終わりの「切なさ」を感じます。夏の夕方に鳴くというところから、「ひぐらし」という名前がつけられている蝉です。実は6月頃からずっと鳴いている蝉なのですが、8月終盤になると、急に聞こえてくるような気がしています。
9月の中旬になると、蝉よりもコオロギなどの「虫の音」が聞こえてきます。この「音」という漢字を、お子様はどのように発音するでしょうか。「虫の『おと』」と読むお子様もいらっしゃるかもしれません。ただ、ここでは、やはり「虫の『ね』」と発音してほしいものです。
「鳴く虫」としてよく知られているのは「コオロギ・キリギリス」などの仲間と、「セミ」の仲間でしょう。「虫の音(ね)」と表現されるのは、このうちの前者ということになります。「セミ」の鳴き声は、「蝉の音(ね)」とは表現せずに、「蝉の声」というのが一般的です。もちろん厳密に言えば、虫の発する音(おと)は、口や喉から発する「声」ではありませんし、「鳴く」という表現も微妙なところではあります。ただ、その音を「声」「鳴き声」ととらえるのは、日本的な感性なのだと思います。
「虫」の発する音を「声」としてとらえるのは、日本人とポリネシア人だけだという話を何かで読んだことがあります。虫の発する音を、「右脳」「左脳」のどちらで処理をするかで、その違いが生まれるそうです。日本人とポリネシア人は、言語を処理する「右脳」を使うために、「声」としてとらえて「聴く」のに対し、それ以外の人々は、音を処理する「左脳」を使うために、「ノイズ」として「耳に入ってくる」というイメージなのだそうです。これは、虫の発する音だけではなく、「川のせせらぎ」「風の音」といった自然音全般にみられる傾向ということでした。
文部省唱歌の「虫のこえ」という歌はいまでも小学校で扱われているのでしょうか。
あれ松虫が鳴いている ちんちろちんちろ ちんちろりん あれ鈴虫も鳴き出した りんりんりんりん りいんりん 秋の夜長を鳴き通す ああ おもしろい虫の声
きりきりきりきり きりぎりす がちゃがちゃがちゃがちゃ くつわ虫。 あとから馬おい おいついて ちょんちょんちょんちょん すいっちょん 秋の夜長を鳴き通す ああ おもしろい虫の声
日本語の特徴のひとつとして「擬声語」「擬態語」の豊富さが挙げられることがありますが、ほぼ「擬声語」だけでつくられている歌もなかなか珍しいですよね。
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