四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『中学受験に向いているタイプ』

2024.08.28

二学期から早稲田アカデミーでスタートされる方もいらっしゃいます。新学年開講の2月から入塾される方がもちろん一番多いのですが、夏と9月からのご入塾をお考えになる方も一定数いらっしゃいます。先日も新しくお問い合わせいただいた方と面談(カウンセリング)をさせていただいたのですが、「うちの子はあまり向上心がなくて、テストで×がついていてもあまり気にしない性格なのですが、中学受験に向いていますか」というご相談をいただきました。


実は「どのようなタイプの子どもが中学受験に向いていますか」という質問はよくいただきます。保護者の皆様からというよりも、雑誌の取材などで聞かれることが多いのですが、正直に言うと、「どんなタイプ・性格でも、中学受験に向かないお子様はいません」というのが、私の回答です。それぞれのタイプに合う中学校はありますし、どんな性格のお子様でも中学受験で成功するための学習の仕方はあるというのが本音です。
ただ、雑誌の取材の場合は、その回答では、「よい記事」にはならないのでしょう。「もう少し、なにか……」と突っ込んで聞かれることがあります。そんなときにはいくつかのタイプをお話しすることがあります。そもそものお子様の性格というよりも、小学校低学年から中学年くらいにかけて、その方向性で伸ばしていくとよいという意味での「タイプ」です。言い方をかえれば「低学年から中学年で伸ばしていきたい力」とお考えください。


「中学入試に向けて伸ばしていきたい力」という観点で、私が講演会などでお話ししているのは、以下の4つのポイントです。
①自分で考えることができるタイプ
②ていねいに学習することができるタイプ
③興味関心が幅広いタイプ
④明るく前向きなタイプ
この4つのタイプをすべて兼ね備えているからといって、必ず成功するわけではありませんし、足りないものが多くても成功することは、もちろんたくさんあります。一般的に、こういった方向性にお子様を伸ばしていくことで、中学入試へ向けた学習の中で直面する困難を乗り越えやすくなる、そんなイメージをお持ちいただければと思います。これらのタイプに関して、それぞれに詳しく書かせていただきます。


①「自分で考えることができるタイプ」
小学生であれば、誰もが「依存心」を持っているものです。お父様やお母様に助けてもらいたいという気持ちを持っていない小学生はいないでしょう。しかし、勉強や学習という点においては、なるべく早くこの「依存心」から脱却して、「自分で考える」という方向に進めていくのがよいと考えています。


授業中の問題演習時間で、少し難しく感じられる問題になると手を止めてボーっとしてしまう生徒がいます。心の中では「先生、早く解説してくれないかなぁ」とつぶやいているように思えてしまいます。同じような問題を何回も繰り返し質問にくる生徒がいます。先生の話を聞いて笑顔になってくれるのですが、また同じ問題が自分では解けなくて、質問にくることが多くあります。どちらの生徒も「自分で考える」レベルが低く、誰かに解説してもらうことで、解決したつもりになって安心してしまうタイプになってしまっているのです。このスタイルの学習では、大きな成績向上が望めないことはおわかりいただけると思います。


②「ていねいに学習することができるタイプ」
「ていねいに」という言葉からは、「字をきれいに書く」「筆算の位をきちんとそろえて計算する」というようなイメージがわいてくるのではないでしょうか。しかし、ここでの「ていねいな学習」というのは「ていねいに書く」「ていねいに処理をする」というのではなく、「ていねいに考えることができる」とお考えください。算数の問題では、設問文を読んで条件を整理し、正解までの道筋をていねいに考える、国語の選択肢問題では「なんとなく」で選んでしまうのではなく、きちんと根拠を考えて選択肢同士を比較して考える、記述問題ではいきなり解答を書き始めるのではなく内容を整理してから書く、そんな思考ができるタイプということになります。


もちろん低学年・中学年段階で、問題を解くときにそこまで「ていねいに」というのは要求できない部分もあります。ただ、論理的に筋道を立てて考えるという土台を作っていくイメージをお持ちいただければと思います。算数では図をきちんと書くところから、国語では段落や場面ごとに内容を把握しながら読むところから、そんな学習を進めていくのがよいと思います。


③「興味関心が幅広いタイプ」
いろいろなことに興味があり、関心があるのはとてもよいことだと思っています。興味を持つものが多すぎると、ときには集中力に欠けるように見えてしまうこともあるのですが、それもひとつの性格として、私はとらえています。授業中に集中できていないときには、もちろん注意をさせていただきます。


最近の中学入試でも、身近なものに興味を持っているかどうかを問うような問題が出されることがあります。また、時事問題といわれるような出題は、身近ではなくても大きなニュースや話題となっているものが問われることがあり、その内容は小学生の学習レベルを超えることがあります。ここ数年では「SDGs」の内容を下敷きにした問題が多く出題されています。その中では「ジェンダーギャップ」「アンコンシャスバイアス」などのような、小学生の日常生活の中では触れないような用語が使われることがあります。また、現在の教育におけるキーワードのひとつである「協働力」の土台となるのは「他者理解」です。自分とは生活している環境や文化・考え方などが違う「他者」に対して、その思考や感情を理解していくことが、将来の「協働力」につながっていくわけです。そう考えると、「他者に対する興味関心」という点も育てていきたい力ということになります。


④「明るく前向きなタイプ」
この点については「言わずもがな」だと思いますが、大きな目標に向けて進んでいくときには、やはり「ポジティブ」に考える方がうまくいくはずです。小学生が学習にポジティブに取り組んでいくときに大切になるのは、「自己肯定感」だと私は考えています。「自分はできるはずだ」と思っていれば、壁にぶつかっても乗り越えていく気持ちが生まれてくるでしょう。逆に「自分には無理だ」というような思いを強く持ってしまっていると、すぐにあきらめてしまうことになります。もちろん、失敗をしたら反省することは必要ですが、大きく落ち込むのではなく、前を向くことがなによりも大切なのではないでしょうか。

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