四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『大切なのは「学習時間の長さ」ではなく……』

2024.09.06

台風10号が過ぎたあと、少しずつ「秋めいた」日も増えてきました。まだまだ残暑も厳しい時期ですが、「勉強の秋」へ向けて早稲田アカデミー各校舎では、生徒たちのさらなるやる気を引き出すために、さまざまな取り組みを進めています。各校舎・各クラスでは「新学期オリエンテーション」も実施されたことと思います。


小6受験学年の生徒たちにとっては、来年の入試まで残り5か月となりました。それぞれの志望校へ向けた学習が加速していく時期となります。入試が行われるのは「来年」のことなので、まだ受験生としての実感がわいていない小6生もいます。毎年、秋の小6オリエンテーションでは「夏が終わり、みんなはまだ半袖のTシャツを着ているけれど、もうすぐ涼しくなって長袖になるよね。そして、次に君たちが半袖を着るときには、もう中学生になっているんだよ。そのときにどこの中学校に通っているか……」という話をします。当たり前のことではあるのですが、具体的なイメージができると、生徒たちは少し「ハッ」としたような顔になります。今年は9月1日に「NN志望校別クラス」の選抜試験(NNオープン)が行われました。そして、9月15日からは、「NN」全コースの二学期講座が開講になります。


9月1日から、来年の2月1日までは「残り153日」となります。単に「153日」という数だけを受験生に伝えると、「まだそんなにあるのか……」という顔をする生徒がほとんどです。そこで「学校が始まると夏休みのような『1日10時間の受験勉強』はできないよね。もし1日3時間の勉強を残りの期間で行うと……459時間!」という話をすると、顔色が変わる生徒が出てきます。さらに「一科目に使える時間は115時間ということになる。入試過去問の演習で考えると、解く時間と直しの時間で最低でも90分はかかるから、約75校分ということになるね。もちろん、ここからの家庭学習は入試過去問だけをやっていればいいわけでもないし……」という話に続けていきます。入試までの具体的な数字を伝えることで、受験生としての意識をさらに高めていくようなイメージです。もちろん、小学校の授業がない土日や冬休みには、もっと学習時間をとることもできますので、そういう意味では459時間は正確な数字ではないのですが……。ただ、受験生に残された日数・時間は当たり前ですが、「同じ」です。


残された150日あまりで志望校への合格を勝ち取るためには、同じ学校を目指しているライバルに差をつける学習をしなければなりません。昔の大学受験では「四当五落」という言葉が流行ったことがあります。睡眠時間を削って受験勉強に勤しむということを表した言葉で、四時間睡眠ならば合格、五時間以上寝てしまうと不合格になる、というような意味で使われていたようです。もういまでは死語になっている言葉です。睡眠時間を削って学習をしても、逆に定着度は下がってしまい、効果的ではないことも立証されているようです。小学生にとっては、高校生以上に睡眠が大切なものであるのは、ここで言うまでもないことでしょう。「ライバルよりも勉強時間を増やす」ということは、受験生の学習としては「現実的」なものではないのです。


私が受験生に話をしているポイントは、「学習効率を高める」ということに尽きます。同じ時間で学習できる「量」を増やす、というイメージです。よく使うのは「時間単位の学習密度を高める」という言葉です。受験までの日数・学習できる時間数が同じでも、その時間の中で「行う学習量」に差をつけることができれば、合格に近づくことになるはずです。NNクラスの二学期初回授業でよく話をしています。まず、「3時間勉強した生徒と5時間勉強した生徒では、どちらが合格に近づくか」という問いを生徒に投げかけます。「5時間」という答えが返ってくるのですが、「同じ学習内容だったら、3時間の生徒の方がいいはず」「集中して短時間で学習を進めていくことが合格に近づく道」という話に続けていきます。


先日のNNオープンの保護者会では、「残された時間は限られているのですから、ここからの学習のポイントは『ムリなく、ムダなく』がキーワードになります。そのために算数では……」という話もさせていただきました。


小6の秋になって「時間単位の学習効率を高める」ことを意識し始めても、なかなかうまくいかないものです。小6の夏期講習会夏期集中特訓で「受験生としての意識」を高めることができれば、秋からの学習に向かう意識は変わってきて、学習姿勢もよくなってはきますが、より上のレベルで「効率のよい学習」を行うためには、非受験学年において「集中して学習に取り組む経験」を積んでおくことが必要になります。小5までの非受験学年であれば、与えられている課題も(受験学年の秋に課される内容と比べれば)そこまでは多くありません。ただ、かなりの時間をかけているお子様も多いのではないでしょうか。場合によっては、机の前に「ボーっと」座っているだけで、実際には手も頭も動いていない、そんなケースもあるかもしれません。非受験学年の保護者の皆様に一番お願いしたいのは、そういったお子様の状態をしっかりと見ていただいて、なるべく「効率の良い」学習スタイルに切り替えていただくことです。まずは「学習時間の長さ」よりも、「学習効率」を意識していただければと考えています。

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