『お子様に対する理解がスタートライン』
2024.10.23
先日の『クローバーセミナー』の冒頭でもお話しさせていただいたのですが、一人ひとりのお子様はそれぞれが「特別」な存在です。保護者の方から「うちの子はちょっと変わっていて……」というお話をいただくことがあるのですが、それはある意味当たり前のことだと思います。逆に「うちの子はとても普通の標準的な小学生で……」という方が珍しいかもしれません。
私がセミナーでお話ししていることやブログで書かせていただいていることは、ある意味「標準的」かつ「一般的」な内容ではあるのですが、それは絶対的な「正解」ではありません。すべてのお子様方にとって「絶対に」うまくいく方法などは存在しないと思うのです。特に中学受験へ向けた学習の進め方においては……。私なりに発達心理学や教育心理学なども勉強してはいるのですが、セミナーやブログなどでは、そういった内容をお話しするよりも、実際の進学塾での体験を通じて考えたことや、生徒たちに教えてもらったことから、保護者の皆様に向けたアドバイスやヒントをお伝えさせていただいているというイメージです。
少し掘り下げて書かせていただきます。お子様それぞれの、性格やタイプ、そして精神的な発達段階も様々です。さらにはお子様をとりまく環境もそれぞれで異なるでしょう。「効果的な学習の仕方」や「成績の伸ばし方」もそうですが、「前向きな気持ちのつくり方」や「充実した毎日を過ごす方法」なども、「こうすれば必ずうまくいく」という「王道」があるわけではありません。
書店にはたくさんの「子育てのための本」や「受験で成功するための本」が並んでいます。一般的なことが書かれているものもありますし、「特殊・特別な方法」が書かれているものもあります。時として話題になるのは、少し「突飛」なものだったりすることもあるようです。そういったものの方が話題にはなりやすいのでしょう。ただ、それらに書かれていること(一般的なことも特殊な方法も)はすべてのお子様に当てはまるものではないはずです。私がブログに書かせていただいていることも、セミナーでお話しさせていただいていることも、中学受験を目指す進学塾の生徒たちに目線を合わせた「一般的」な内容です。そしてそれらの中から、お子様に合った考え方や方法を選ぶのは、保護者様の大きな役割だと思うのです。
ひとつわかりやすい事例を出してみます。お友達が朝の5時から毎日勉強していて成績が上がったという話を聞いて、朝が弱いお子様を無理やり5時に起こして勉強させるのは意味がないことでしょう。ここにおいて大切なのは、「朝が弱いタイプである」という保護者の皆様の(子どもに対する)理解にほかなりません。しかし、その理解が正しいかどうかという点も検証してみることが必要なはずです。本来は「朝が弱いタイプ」ではないのに、夜眠るのが遅くなっているという生活習慣のために、朝気持ちよく目覚められなくなっているという可能性もあるわけです。さらに親から「朝は弱いタイプ」といわれている子どもは、自分でもそう思い込んでしまうことが多くあるのです。そして、毎朝なかなか「ベッド」から出てこない、起きてすぐに机の前に座ってもボーっとしたまま……そんなことになってしまう場合があるのです。
さて、上記の話の中に出てきた「朝が弱い」を「算数が(国語が・暗記が)苦手」に置き換えてみるといかがでしょうか。「漢字の暗記」が苦手だから、「国語は苦手」と思い込んでしまっている。「計算問題でのケアレスミス」が多いから、「算数は不得意」と思い込んでしまっている。そんなお子様はいらっしゃらないでしょうか。
お子様にとって最適な方法を考えるためには、スタートラインとしてお子様を客観的にご理解いただくことが必要だとお考えください。
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