『Things to do』
2024.10.25
気がつけば、10月も残すところ10日あまり。あと二か月とちょっとで今年も終わり、と思うと急に気持ちが焦りはじめてきました。小6受験生たちも志望校の過去問演習をする中で、「残り二か月で合格点が取れるようになるんだろうか」、そんな気持ちになることもあるはずです。この時期、NNや受験生の授業では、「受験生は誰だって不安になったり、悩んだりする時期がある。不安や悩みを感じたら、ともかく目の前にある問題に集中して。いまやるべきことは勉強以外にないんだから。立ち止まっている時間は無駄だと考えよう」、そんな話をしています。
私自身も最近はとても忙しい日々が続いています。「やるべきこと、やらなければならないこと」がいっぱいで目が回るような状態です。こう書くとなんか愚痴を言っているように思われるかもしれないのですが、そうではありません。「やるべきこと」があるというのは、幸せなことだと思っているのです。「逆」を考えてみるとおわかりいただけるのではないでしょうか。「やるべきこと」がない毎日は、とても味気ないものになってしまうように私は感じています。たしかに、いまこの瞬間、10日間程度の「なにもやらなくてよい日々」ができて、南の島のリゾートでのんびり過ごすことができるとなったら、うれしく感じるようにも思います。しかし、それがずっと続くとなると……。実際に、いまの私に10日間の休みがあったとしても、きっと1日~2日だけしか「ゆっくり」というわけにはいかないように思います。
自分のことばかり書き過ぎてしまいました。「やるべきことがある」ことによって、「充実した日々を送ることができる」という点については、小学生にとっても同じだと思うのです。そして、「やるべきこと」の多くは「目標を持つ」ことによって決まるとも考えています。中学受験という大きな「目標」を持って、そこに向かって、日々「やるべきこと」をがんばっている小学生は、そういう点においては「幸せ」なのだと思います。 「目標に向かって努力する」「目標に到達するためにやらなければならないことをがんばる」というのは、決して楽しいことばかりではないはずです。ときには「つらい」と感じることもあるでしょうし、投げ出してしまいたくなるときもあるでしょう。人生における経験の少ない小学生にとっては「どれくらいがんばったら、目標に届くのか」ということが見えずに不安になることもあるはずです。さらに、小学生では「自分がどれだけがんばることができるのか」ということもわかっていないのが普通です。
きっと毎日の宿題で大変な思いをしている生徒に「やるべきことがたくさんあって幸せだね」と言ったとしても、「えぇ~!?」と言われてしまうでしょう。ただ、長い目で見ればその充実した毎日はきっとお子様方の未来につながると考えています。また、毎日の生活の中でも「目標」と「やるべきこと」がはっきりしていることは、生活面や精神面においてもよい効果につながることがあります。たとえば、小学校で友人関係のトラブルを抱えることがあります。大人から見ればたいしたことではなくても、子どもにとっては大きな悩み事となっている場合もあるようです。そういった悩み事があったときにも、しっかりとした「目標」がブレていなければ、それが精神的な支柱となって立ち直ることができるケースもあるはずです。
「やるべきことがたくさんあって充実した日々」というのは、「やらなければならないことがあって大変な日々」というネガティブなとらえ方もできます。というよりも、毎日の生活の中ではそうとらえてしまうことの方が多いでしょう。たぶん、それはお子様方ばかりではなく、大人でも同じことだと思います。しかし大きな目標を乗り越えて振り返り、「達成感」とともにその日々を思い起こすとき、「充実」していたと感じることができるはずです。そして、それは大きな経験となってお子様の未来につながることでしょう。 中学受験という高いハードルへ向けた努力を積み重ねることで、得られる大きなものの一つが、この経験であると私は考えています。
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