『とつぜん、自転車に乗れたように……』
2019.05.22
「ベストパフォーマンス」という言葉を耳にすることがあります。「ベストパフォーマンスを発揮する」というような形でよく使われているようです。私も早稲田アカデミーの職員に対して、「授業では毎回『ベストパフォーマンス』を出せるように、しっかり準備して臨みなさい」というような研修を行うことがあります。
では、小学生のお子様が、学習に対して「ベストパフォーマンス」を発揮するのは、どんなタイミングでしょう。早稲田アカデミーでは、「私語のない緊張感のある授業」を実践し(とは言ってもシーンと静まり返った状態ではなく、生徒全員が頭を回転させている状態)、講師の話や問題演習に集中できるようにしています。その授業以上に小学生が集中力を発揮するときがあります。それはテストの問題に向かっているときです。
私は小学校1年生から6年生までスイミングクラブに通っていました。当時は、今ほどスイミングクラブが多くなかったこともあり、九州で行われた全国大会にも出場した経験があります。
練習は、月曜日から金曜日の夕方に行っていました。毎回タイムを測っていたのですが、自己最高記録を更新するのは、決まって日曜日に行われる「記録会」だったのを覚えています。決して練習で手を抜いていたつもりはないのですが、練習でベストタイムを出すことはできませんでした。そして、日曜日の「記録会」で記録を更新すると、不思議なもので、次の月曜日の練習からは「それまでのベスト」は軽々と越えられるようになっていました。「ベストパフォーマンス」を発揮することで、それまでできなかったことができるようになる、そんなイメージでしょうか。
今年の早稲田アカデミーの夏期講習会ポスターには「とつぜん、自転車に乗れたように、とつぜん、勉強の視界もひらける。」という言葉が書かれています。その言葉を見ながら、小学生のときの「記録会」のことを思い出していました。
お子様の学習に置き換えてみます。授業で習った内容は「わかった」つもりでお帰りになるはずです。しかし、家庭学習で宿題に取り組んでいると、易しい問題はできても、難しい問題になると「わかってはいるけれど自分では解ききれない」ということもあるはずです。その壁は、テスト問題に真剣に取り組むことで、越えられる場合があります。「テストになったからといって、今までできなかった問題が解けるようになるはずはない」というのも、一方では正しいと思います。特にそれが高校生以上の場合はそうでしょう。しかし、小学生の場合、精神的な成長の途上にあります。気持ちの面において、ムラもあれば、甘え(依存心)も残っています。その気持ちも含めてベストな状態でテストに臨むことができれば、それまでできなかった問題もできる瞬間があるはずです。その瞬間がお子様を一歩成長させる、そんなふうにお考えください。
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