『子どもに会話をさせる』
2019.07.26
夏休み、いかがお過ごしでしょうか。首都圏の7月の日照時間は、例年と比較してかなり少なかったというニュースを見ましたが、ようやく「夏らしい」日差しになってきたようです。気温差も大きくなっていますので、お子様も保護者の皆様も体調など崩されていないでしょうか。「充実した夏」にするための一番のポイントは「体調管理」と保護者会などでよくお話しさせていただいています。「夏期講習会」も「ご家族での旅行」も、体調がよくなければ、頑張ることも楽しむこともできないわけですから、まずは規則正しい生活で体調を崩さないようにしていただければと思います。
夏休みには、きっといろいろな方と触れ合う機会があるはずです。前回の記事でも書かせていただきましたが、お父様やお母様のご実家への帰省でご親族とお話しされることは、お子様にとって大きな「刺激」となり、精神的成長にも大きくつながるものと考えています。さらに自分とは生活環境や年齢が異なる方と触れ合うことで、「他者理解」にもつながります。将来活躍するために必要といわれている「協働力」、そのスタートラインは自分とは異なる他人をいかに理解し、許容するか(他者理解)にあります。そのためにも、多くの方と触れ合う経験は大切だと思います。
さて、さまざまな方とお子様が会話をするときのことを少し具体的に書かせていただきます。お子様がご親族と会話している場面をご想像ください。わかりやすいように叔母様との会話を例にしてみましょう。
(叔母様)「夏休みの宿題はたくさん出ているの?」 (お子様)「うーん……」 (お母様)「ほら、自由研究とか日記があるでしょ」 (お子様)「うん、自由研究とか、日記とか……」
そんな会話になっていませんでしょうか。お子様が答える前に、「親が先回りをして」答えてしまうような感じに。このタイプの会話では、他者との触れ合いによって精神的な成長を促すことにはつながらないのはおわかりいただけるはずです。そして逆に「依存心」を高めることにもつながりかねません。お子様にとって「自立」をすることは、成長するためにも学習面での成績を上げるためにも必要なことになるはずですが、「依存心」が強ければ強いほど、「自立」のためにはマイナスになってしまいます。
では、親はなぜ「先回りして」答えたくなってしまうのでしょうか。一つには「聞かれていることにちゃんと答えさせなければならない」という心理が働くのかもしれません。ただ、お子様に対して何かを問いかけてくる大人は、本当にその質問の答えを知りたいとは思っていないはずです。単に子どもとのコミュニケーションをとろうとしているのが、ほとんどの場合でしょう。となれば、やはりお子様に考えさせて答えさせることが必要になるはずです。
もう一つは「きちんと答えられないと恥ずかしい」という親の心理です。そのお気持ちはわからないではないのですが、一方で「親に教えてもらわないと答えられない」というように思われるのも、決して「かっこうのよい」ものではないでしょう。
「相手の質問の意味を理解し、どう答えればよいのかを考え、それを表現する」という大切なトレーニングを、お子様はいろいろな方との会話の中において行っているのです。その点をぜひご理解ください。
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