『新年度スタートにあたり ~中学入試を選択する意味~』
2020.02.05
今年の中学入試も「終盤戦」となっています。すでに進学先を決めている受験生も出てきていますし、まだ挑戦し続けている受験生もいます。早稲田アカデミーにお通いいただいた皆様が、進学先を決めて笑顔で次のステージに進まれるように、私も最後まで応援してまいります。
早稲田アカデミーの入試結果に関しては、こちらのページで随時公開させていただいておりますので、ぜひご覧ください。早稲田アカデミーをご信頼くださり、ご期待くださっている保護者の皆様にも胸を張ってお話しできる結果となっていると自負しております。まだ集計中の部分もあり、最終的な結果までにはもう少し時間をいただくことになりますが、ご期待いただきお待ちください。また今年の入試の状況などに関しては、「中学入試報告会」などでお伝えさせていただきますので、ご興味のある方はぜひご参加ください。
毎年、この時期に早稲田アカデミーを巣立っていく生徒たちを見ていると、これからの彼ら、彼女たちの将来がとても楽しみに思えてきます。中学校という次のステージへと向かう子どもたちには、大きな可能性があります。その可能性を大きく広げ、羽ばたいてもらうことを願ってやみません。
「子どもの可能性を伸ばす」という言葉を耳にすることがあるのですが、「伸ばす」というよりも「子どもの可能性」は無限に広がっていると私は思っています。生まれたばかりの子どもには、将来、医師や法律の専門家や宇宙飛行士、そしてスポーツ選手や芸術家にも、何にだってなれる可能性があるわけです。しかし、成長していくうちに、いくつかの可能性が消えていくか、薄くなってしまうことがあります。
親はなるべく、その可能性の芽を摘んでしまうことがないようにするべきだと思うのです。お子様の適性を見極め、その長所を伸ばし、進むべき道をある程度定めて導いてあげることも、親や周囲の大人の役割として挙げられるでしょう。しかし、まずはすべての可能性を考えて、なるべくその可能性の幅が狭まらないように成長を後押ししてあげることが大切だと、私は考えています。適性だけではなく、お子様自身がやりたいことが見つかったときに、それを目指すことができるように、と考えることが必要だと思っています。さまざまなところで言われていますが、将来の日本や世界で求められる力や役割は、ここからの10年20年で大きく変わるはずです。その点を考えても、お子様の可能性を狭めないように育てることが必要だと思います。
以前、担当していた生徒(女子)の話です。国語がとても得意だったのですが、お母様はよく「両親ともに理系なのに、算数が苦手だなんて……」とおっしゃっていました。結局、入試まで国語は得意、算数は苦手という図式は変わらなかったのですが、努力の結果、第一志望校に合格しました。それからの中高6年間、彼女がどのような生活をし、どのように学んでいったのか、詳しいことは分かりません。ただ、結果として大学は医学部を選び、見事現役で合格。わざわざ私の校舎までそのことを報告に来てくれました(当時担当していた校舎から異動し、かなり遠方の校舎になっていたのですが……)。高校に入ると数学・理科の成績が伸び、また、国語(現代文)も変わることなく好きで、受験勉強の気晴らしは読書だったそうです。
その生徒と話をしていて感じたのは、中学受験のときに苦手な算数を「嫌い」にならなくて良かったということでした。もし、「算数は苦手だから嫌い」と思い込んでしまっていれば、きっと大学で理系の道には進んでいなかったでしょう。
私が小学生の授業で一番心掛けているのは、単に知識や解き方を覚えこませることではなく、しっかりと理解させ、さらにそこから「考えさせる」ということです。頭の使い方や考え方の土台が出来上がる小学生の間にしっかりとしたトレーニングを行うことが、お子様が将来どんな道に進むにしても、必ず役に立つことであり、それが将来の可能性を狭めないために必要だと考えています。
今年の受験生たちの入試がひと段落し、早稲田アカデミーでも新年度がスタートいたします。新しい学年での学習をスタートするにあたり、お子様の可能性を狭めないという視点を、保護者の皆様にもお持ちいただければと思っています。
さらに、精神的にも肉体的にも一番成長するのは中学校・高校の6年間です。一番成長する時期にお子様にあった環境をしっかりと選び、与えてあげることが「子どもの可能性を奪わない」ことにつながるのではないでしょうか。それが中学受験を選択する目的の最大のものだと私は思うのです。
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