『新年度からのテスト講座 ~ケアレスミスと見直し~』
2020.02.12
早稲田アカデミーの小学部新年度が始まりました。各校舎で新年度の「オリエンテーション」なども行われ、新しいテキストでの授業が始まっています。お子様方の気持ちはいかがでしょうか。新しい学年に向けて、前向きな気持ちになっているでしょうか。毎年、この時期(年度の切り替わりの1月終わりから2月初め)のブログでは、新年度へ向けた気持ちのつくり方や学習計画の立て方などについて触れていますので、よろしければ過去の記事もご参照いただければと思います。新年度のお子様専用のカレンダーをつくったり、筆記用具を新しくしたり、という新年度への気持ちの切り替えの具体的なアドバイスも書かせていただいております。
旧学年で早稲田アカデミーに通っていらした方にとっては、新学年カリキュラム(算数・国語)のはじめの数回の単元は「復習内容」となるはずです。特に小3時点で「コンパス」というテキストを進めていた方にとっては、小4「予習シリーズ」は簡単に感じられるかもしれません。ただ、そこで油断をしてしまうと、その先に「壁」がきてしまいます。前学年中に積み残していた部分をしっかりと埋めて、次につなげることができるように学習を進めていただければと思います。
さて、今回は小学生がテストを受験するときのポイントについて書かせていただきます。今年度から早稲田アカデミーでは、小学校4年生のカリキュラムテスト(隔週実施)、小学校5年生のSSクラス生の「土曜YT講座」は必修扱いとなっています。小学生にとっての単元テストは「テストを受けることそのものが学力向上につながる」ものです。中学生・高校生になるとテストや試験というものは「定着度合を測り、できていないところを確認する」ために受験をする「試すテスト」という位置づけになりますが、小学生の単元テストは「真剣に問題に取り組むことで、学習内容をきちんと身に付けさせる」ための「定着させるテスト」という位置づけになります。この点については、中学受験学習を進めていく上では非常に重要なポイントとなりますので、幾度かこのブログでも触れさせていただいておりますし、「クローバーセミナー」などでも詳しくお話ししておりますので、ここでは割愛させていただきます。ただ、そのテストの受け方によって、学習効果にも差が出てきますから、今回はその点について。
ケアレスミスが多いタイプの生徒がいます。「考え方や解き方がわかっていても、ミスをしてしまったことによって正解とならない」というのがケアレスミスの定義でしょう。こういったミスは一般的には「頭の回転が速い生徒」によく見られる傾向です。回転が速い分、急いで解こうとして作業スピードが頭の回転に追いつかないということがあるわけです。ですから、筆算の字が汚くなって「0」と「6」を書き間違えたり、漢字を写し間違えたり、ということが起こるわけです。低学年の段階では、短所を克服するよりも、長所を伸ばすことが大切ですので、こういったタイプのお子様にあまり口やかましく「ミスをしないように」とは言わないようにしています。ただ高学年になってきたら、考え方や解き方がわかっているからといってミスを軽視してしまうのはよくないことです。
中学受験では、たとえば算数の場合、解き始めたら(なるべく)1回で正解にたどり着くようにと私は指導をしています。制限時間が決まっていますので、「検算」や「解き直し」の時間はほとんど取れないはずです。難関校の場合、正解が「きれいな数字」で出てこない場合があります。約分できない桁数の多い分数が正解になったりするわけです。こういった学校を受験する場合、「変な数字が出てきたから、間違っているかもしれない」と考えるわけにはいきません。途中で複雑な数字が出てきたとしても、自分の解答力を信じて、最後まで解き切るしかないわけです。万が一、途中でミスをしていたとしても、振り返るわけにはいかないのです。
「小4カリキュラムテスト」や「小5・小6土曜YT講座」などのテスト講座は、こういった「1回で問題を解き切る」という力を養うためにも効果的です(もちろん、学習内容を定着させるためというのが最大の目的ですが……)。そのための第一歩としてまず心がけてもらいたいことは、「設問文」を丁寧に読むということになります。よくあるケアレスミスのパターンとして、問題文をよく読んでいなかったために、条件をひとつ見落としてしまったり、問われているものとは違ったことを答えてしまったりというケースがあります。自分が今までにやった問題の記憶から「たぶんこうだろう」という思い込みで解き始めてしまうケースなどもよくあります。
保護者の皆様もテスト前などに「問題をよく読みなさい」とお子様におっしゃると思いますが、それは本当に大切なことなのです。さらに「解き終わったら見直しをちゃんとしなさい」という指導をされる場合もあると思います。実は小学生にとって「見直し」は難しいものなのです。自分がいったん正しいと思って解いているわけですから、そこをどう「見直し」ていけばよいのかがわからないのです。さらに、問題を解いた過程などを見ていっても、なかなかミスを発見することはできないものです。私は「見直し」という言葉は使わずに、「解き終わって時間が余ったら、もう一度問題文をじっくり読み直しなさい」というように指導をしています。そうすることによって「太郎くんの年齢を問われているのに、花子さんの年齢を答えてしまった」「『適切ではないもの』を答えなさいなのに、『適切なもの』を答えてしまった」などのミスに気がつくことができるわけです。
こういったテストの受け方(お子様への受けさせ方)や家庭学習でのポイントなどは、「基礎から学べる中学入試報告会」でも触れさせていただく予定にしておりますので、ご都合の合う方はよろしければぜひお越しください。
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