『小学生の集中力①』
2020.02.14
まだまだ寒い日も多いですが、少しずつ暖かく、「春」を感じる日差しになってきたように思います。塾で新学年を迎えた生徒たちも、新しい気持ち、明るい笑顔で授業に参加しています。
先日、新小学4年生になられたお子様のお母様からご相談をいただきました。簡単に言えば「集中力が続かなくて……」というご相談でした。多くの保護者の皆様が、ご家庭でお子様の学習をご覧いただくなかでお感じになることではないでしょうか。そこで、今回から次回にかけては「小学生の集中力」について触れさせていただくことにします。
もちろん、学習効果を高めるため、成績を向上させるために、授業や家庭学習における集中力は必要です。例えば暗記をするときに集中力が欠けていれば覚えられませんし、問題を解いているときであれば正解までたどり着くことができません。テストなどで、実力を大きく下回る成績になってしまう場合などは、何らかの要因でテスト中に集中力が途切れてしまった可能性もあるでしょう。
集中力はどの科目でも大切ですが、国語の文章読解では、「集中力」による差がよりはっきりと出てきます。文章を読んで全体の内容や構成を理解し、それを頭の中に入れた状態で問題を解いていくのが国語の文章読解問題の基本的な解き方です。算数であれば、文章問題であってもせいぜい5分ほどで問題を読み取り考えていけばよいのですが、国語の場合は少なくとも10分以上の時間をその文章に割かなければなりません。その間、ずっと頭の中にその文章を置いておかなければならないわけです。いったん集中力が途切れてしまえば、頭の中に入っていた文章の内容はどこかに消えていってしまい、その先の問題を解くことはできなくなってしまいます。そうなってしまうと、テストであれば選択肢を適当に選んだり、マス目を適当に埋めてみたり……。結果、トンチンカンな答案用紙をつくることになって、それをご覧になった保護者の皆様は「文章が全然理解できていない」と感じられたりすることになるわけです。その結果、読解力がない、理解力がない、国語は苦手、といったような評価につながり、それを聞いたお子様自身も「自分は国語が苦手なんだ」と思い込んでしまうことになります。こうなってしまうと、後は悪循環です。苦手意識が先に立って、自信のないまま選択肢で悩んだり迷ったり、記述問題でも空欄のまま残してしまったり……、というような状態に陥ってしまいます。
さて、では「集中力がない」のは本当に悪いことなのでしょうか。実は、それは「良い」とか「悪い」とかの問題ではないのです。ドラマや漫画などでは、集中しなければならないときに他の考えが頭の中をよぎったり、眠気が襲ってきたりすると、それを振り払うように頭をブンブンと振るシーンを見かけることがあります。しかし、あんな動作を実際に小学生がやる、というのはなかなかイメージしづらいものです。そういった動作は、「自分が今集中力を欠いている」という認識を持てる大人(高校生以上くらいでしょうか)が、それを自覚して「これではいけない、集中しなければ!」と思って行う動作ですから、小学生がやっていたらある意味滑稽に感じてしまいます。
そもそも小学校低学年から中学年では、「集中する」ということそのものがよくわかっていません。いろいろなことが気になってしまうのは、子どもとしてはある意味当然のことです。同じように、何かに飽きてしまうのも当たり前です。まずは「集中する」ということを理解し、身に付けていくことがスタートだとお考えください。
お子様が学習に集中できていないなあ、と感じられたときに、皆様はどうなさいますか。多くの方が「もっと集中しなさい!」と声をかけるのではないでしょうか。しかし、実はその言葉の効果はあまり高くはありません。自分は今集中できていないんだ、ということを認識することにはつながるかもしれませんが、ではどうすれば集中できるかは、お子様自身ではまだまだ解決できないはずです。では、どのようにすればよいかという点に関しては、次回に触れさせていただきます。
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