四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『きちんと見直しをしなさい』

2020.06.10

6月8日(月)から、早稲田アカデミー各校舎で「対面授業」が再開されました。まずは受験学年からとなっていますが、今後段階的に非受験学年の皆様も教室で授業をお受けいただけるようにしてまいります。


新型コロナウイルスに関して、首都圏ではまだ新たな感染者も出ているようですし、「第二波への懸念」「東京アラート」というような言葉も、引き続きテレビから聞こえてきています。そんな背景もあり、またさまざまなご事情から「通塾」へのご不安を感じていらっしゃる方も多いと思います。早稲田アカデミーでは、「対面授業」再開後も、当面の間は「双方向Web授業」も併用し、どちらでご参加いただくかをお選びいただけるようなシステム(早稲アカDUAL)を進めてまいります。「3密」回避のために教室収容人数を教室定員の60%を上限としている関係上、事前にどちらかをお選びいただいて授業にご参加いただく形となっておりますので、その点についてはご理解ください。


先日、あるお母様から「やはり家でタブレットを見ているだけだと、集中しきれていないように思えて……」というご相談がありました。「先生はちゃんと教えてくれているのに、定着していないようにも思えますし、テストをやらせてみても、できていない問題が多くて……」というお話に続きました。同じように考えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。「対面授業を早く再開してほしい」というご要望も校舎には多くいただくようになってきています。


一方で「双方向Web授業」(Zoom授業)がとてもよいので、このまま継続してほしいというご意見もいただいています。「新型コロナウイルス感染への不安」からという方もいらっしゃいますが、「家で見られるという利便性」であったり、「親も一緒に授業を見られるので、あとから教えやすい」という点であったり、いろいろなお考えがあるようです。


個人的にも「Zoom授業」がやりやすくなっている部分があります。事前にパソコンで板書する内容や図をつくり、写真で取り込んでおけば、教室でホワイトボードにその場で書く必要がありません。その写真を画面に映して、そこに色を使って書き込んでいけば生徒たちも見やすく解説ができる場合があります。そういった点においては、「技術の進歩」をとても感じています。


ただ、やはり物足りなさを感じているのも正直なところです。画面の向こうにいる生徒たちの様子や問題に取り組む姿勢などを見ていても、そこには差があるように感じてしまいます。教室での授業だったら、もっと真剣に取り組んでくれるはずなのにな……そんな風に思う瞬間があったりもします。


授業だけではなく、さまざまなテストも、まだご家庭で受けていただいている状況です。四谷大塚の「組分けテスト」などは、会場での実施となりつつありますが、まだしばらくの間は、ご家庭で問題を解いたり、テストを解いたりという期間が続くことでしょう。


テストを受けさせるときに、どんな言葉をおかけになりますか。
「きちんと見直しをしなさい」という言葉を使われることはありませんか。
会場で受験したテストでは、家に帰ってきてやらせてみるとできるのに、計算ミスや問題の読み違いなど、俗にいうケアレスミスで失点が多いタイプのお子様がいらっしゃいます。先日もある生徒の答案を見ていたところ、問題用紙の計算では「8」と正解が書いてあるのに、答案用紙に書かれた解答は「4」になっていました。解いた本人に聞いてみても、なぜそんな「写し間違い」をしたのかよくわからずという状態で……。まず、小学生はテストでケアレスミスをするものだという認識を保護者の皆様に持っていただきたいと思います。


小学生はミスをするものなのだから、見直しをさせるべきだというご意見もわかるのですが、私は「見直し」という作業も小学生にとっては、かなり高いレベルの要求だと思っています。ひとつには、小学生の場合、「テストの見直し」という作業そのものが何をすればよいのかを理解できていない可能性があります。テスト監督中に「テストが終わったら見直しをしなさい!」と声をかけると、解答用紙だけをじっと見ている生徒が多くいます。できあがった(解答欄を埋めた)解答用紙をじっと眺めていてもミスは発見できないということは、大人であれば当たり前のことです。しかし多くの生徒は、どうすればミスが見つかるかがわからないのです。
そこで私は、「テストが全部終わったら、もう一度問題を読み直しなさい」というところから指導しています。算数でも国語でも同じです。問われていることをもう一回じっくりと確認することで、自分が出した答えがその問いに対して正しいものかどうかを考えさせることが目的です。自分では「正解」だと思った答案を見直してもなかなかミスを見つけることはできません。たとえば、国語の記述答案で明らかに文意が通らない、おかしな文を書いていたとしても、自分では正しいと思い込んでいるので、書き直すところまではいかないものです(小6の夏以降の最難関校受験生レベルでやっとできるくらいです)。


算数では出てきた答えが問題と照らし合わせておかしくないかどうかを考えさせることも大切です。以前担当していた小6上位クラスで速さの問題を扱いました。歩いているAくんの速さを時速250kmと書いた生徒がいました。年齢算ではお母さんの年齢が75歳、お父さんが22歳という解答もありましたし、平均算で100点満点のテストの得点を聞かれているのに120点と答えたり、身長が240cmの小学生がいたり、図形の問題でも三角形のひとつの角度が200度を超えていたり……。それでも気が付かないで解答欄に書いてしまうのが小学生です。


もうひとつ、テストでミスをしない、ミスを見つけられるようになるという点に関しては、何よりもお子様の集中力と注意力が重要です。いったん集中してテストの問題を解き終えたら、その先に見直しをするだけの集中力が残っているかというと、そこはなかなか難しいでしょう。もちろん学年が上がって、さらに得点をとることに執着するようになってくれば、「やらなければ」という気持ちも生まれてくるはずです。特に目標となる志望校がはっきり決まって、その学校に合格する偏差値という基準が意識されるようになってくると、高得点をとるためにできる限りの努力をするようになります。しかし、受験生になるまではまだそこまでの意識もできあがっていないでしょう。


ミスをなくす(すぐにではなくても、将来的なことを考えて)ために3つのアドバイスをまとめておきます。


①小4くらいまでは「見直しをしなさい」というよりも、「一つひとつの問題を丁寧に解きなさい」という指導をおすすめします。
②将来的にしっかりと見直しができるようになるためには、何よりも意識を高めることが大切です。テストを嫌いにならないレベルで、高得点をとりたいという気持ちをつくるようにしてください。
③見直しだけではなく、テストそのものの受け方を練習することも、毎週の単元テストの大きな目的です。しっかりと毎週のテストを受け続けられるように応援してあげてください。

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