『SDGs』
2020.11.25
「SDGs」というカラフルなロゴマークを目にする機会が増えてきました。 「持続可能な開発目標」=「Sustainable Development Goals」として、2015年の国連サミットで採択された2030年までの世界的な開発目標を、英語の頭文字をとって「SDGs」と呼ばれているのはご存じでしょう。中学入試においても、採択された翌年から時事問題として、取り上げられるようになっています。今年の入試問題では、筑波大学附属駒場中がプラスチックゴミに関する問題を、慶應義塾湘南藤沢中がSDGsを日本語で書かせる問題を出題していました。昨年、成蹊中が出題した「自然の物質の流れを考えたとき、どのようなトイレが好ましいと思うか、これからの未来のトイレを考え、一つ案を出してみてください」という理科の記述問題は、SDGsの考え方(SDG6「安全な水とトイレを世界中に」)を基盤においているはずです。
感染症の世界的な拡大という影響もあるのかもしれません。人類全体が直面している課題・問題に対して、地球規模で取り組んでいくという考え方が浸透してきているようにも思います。そんな中、テレビでも「SDGs」について取り上げられることが多くなってきているように感じています。 すでにご存じの方が多いと思いますが、SDGsの17の目標について、ご紹介しておきます。
1 貧困をなくそう 2 飢餓をゼロに 3 すべての人に健康と福祉を 4 質の高い教育をみんなに 5 ジェンダー平等を実現しよう 6 安全な水とトイレを世界中に 7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに 8 働きがいも経済成長も 9 産業と技術革新の基盤をつくろう 10 人や国の不平等をなくそう 11 住み続けられるまちづくりを 12 つくる責任 つかう責任 13 気候変動に具体的な対策を 14 海の豊かさを守ろう 15 陸の豊かさも守ろう 16 平和と公正をすべての人に 17 パートナーシップで目標を達成しよう
これらの17の目標に対して、より具体的な169のターゲット(具体的な取り組み)も設定されています。今年、ノーベル平和賞を受賞した「WFP(世界食糧計画)」も、SDG2「飢餓をゼロに」という目標のために活動している機関です。また新型コロナウイルス対策で世界的に注目されたWHOはSDG3「すべての人に健康と福祉を」という目標に向かって活動をしています。さらに、菅首相が「2050年までに温室効果ガスを実質ゼロに」という「国際公約」を発表されたのも、SDGsに対しての取り組みが背景にあるものと考えています。こういった点も中学受験の時事問題としては抑えておきたいところです。
しかし、このSDGsに関しては、中学受験の学習にとどまらないものと私には思えるのです。SDGsが目標達成の期限としている2030年という年を考えてみると、いまの小学生がちょうど大人になった年になるわけです。いま目の前にいる生徒たちが社会に出て活躍する未来、どのような世界や地球になっているのかを考えてみると、この17の目標はとても大切なものだと感じています。いまの大人たちの努力も必要だと思いますし、未来をつくっていく子どもたちの意識を高めておくことも大切ではないのでしょうか。
小学校や中学校においても、このSDGsに関しては、いろいろな形で授業に取り入れられているという話を聞きます。単に知識として学ぶのではなく、こういった地球規模の課題を解決していくための取り組みを自分たちで考えさせるような「アクティブラーニング」型の学習が多いようです。
自分たちの生きる未来のために、いまの地球規模での課題を意識し、考えていく力、そんな素地をお子様方には身に付けてほしいと考えています。お子様の学校ではどのように取り上げられているのかを聞いていただくのもよいと思います。
- 2020.11.25 『SDGs』
- 2020.11.20 『冬から新年度に向けて……』
- 2020.11.18 『「やりたいこと」と「やるべきこと」』
- 2020.11.13 『問題を読む力 ~算数的読解力~』
- 2020.11.11 『気持ちをあらわす言葉 ~心情表現を理解する~』