『笑顔で過ごす』
2020.10.21
新型コロナウイルスの影響で「気持ちが落ち込みがちになっているケース」があるというニュースを見ました。9月に国立の秋田大学が学生に行った調査によると、約1割の学生に中等症以上のうつ症状が見受けられたという報道がありました。「先が見えない」「制限のある生活」「他者との接触回数の減少」「楽しいと思うことができない」などなど、精神的な落ち込みの原因はいくつもあると思います。マスクを常時していることで、豊かな表情を意識してつくることが少なくなった(表情筋を使う機会が少なくなった)結果、気持ちまで落ち込んでしまうという説を聞いたこともあります。
やはり、「笑顔」で毎日を過ごすことは大切だと思います。以前、乳児(1歳)の子どもがいる職員との会話の中で、「両親が笑顔でいると、子どもの機嫌もいいんですよね」という話を聞きました。なんとなくわかる気がしましたし、そしてそれは乳幼児期だけのことではないだろうなとも感じました。
子どもは親の気持ちをとても敏感に察知するものです。10歳前後までは、親からどう評価されているかが一番大きな関心事だとも言われています。たとえば、受験したテストの結果でもお父様やお母様がどう言ってくれるのかが一番気になるわけです。そこから成長してくると、自分と同じクラスで勉強している友人がどれくらいの点数を取っているかが気になり始め、だんだんと「負けたくない」という気持ちが生まれてくるようになってきます。精神的に成長してくれば、子どもの世界も広がり、だんだんと「親の気持ち」以外にも気になることが増えていくものですが、少なくとも小学生の間は(もしくはそれ以上になっても)「親の気持ち」が、お子様の心の中で非常に大きな割合を占めるのは間違いのないことでしょう。
もし、ご家庭の中でお父様とお母様がケンカをしていたら、お子様はどんな気持ちでそれを見ているのでしょうか。そしてそのケンカの原因が自分のことであったとしたら……。
もちろん、お父様とお母様の間で意見の対立が生じることはあるはずです。また、お子様のテストの結果が悪ければ、お父様もお母様も機嫌よくお子様に接することができないのは当たり前でしょう。いつも、どんなときでもニコニコしていることが良いわけではありません。
ただ、中学受験という大きな目標に向かっていくお子様にとって、一番必要なのはご両親の応援であり、サポートであると私は考えています。受験直前期だけでなく小3・小4であったとしても、毎週の学習単元はその学齢のお子様にとっては、高いハードルが設定されています。お子様は「自分にできるだろうか」という不安を抱えながら、毎週の課題に向かっているとお考えください。その不安を拭い去り、前向きに学習に向かうための後押しとなるのは、やはり「両親の支え」であるように思います。「お父さん、お母さんが応援してくれているからがんばる。応援があるからきっと自分にもできるはずだ」そんな気持ちを持って学習に向かっていってほしいと考えています。
前向きな気持ちをつくるためには、「自己肯定感・自己効力感」が必要だと言われることがあります。「自分には無理だ、自分ではできない」という「自己制限・自己否定」的な気持ちではなく、「きっと自分はできるはずだ」と思うことが大切なのです。実際に私が担当してきた生徒でも、成績をグンと伸ばす生徒は「自己肯定感」を強く持っていると感じることが多かったです。この「自己肯定感・自己効力感」をつくるためには、ご両親が自分という存在を認めてくれていると思えることが必要だと考えています。
親子やご家族で「笑顔で過ごせる瞬間」というのは、そういった点でとても大切な時間だと思います。保護者の皆様にとっても、今年はなかなか「笑顔」でいるのが難しいことも多いかもしれませんが、そんな年だからこそ、「笑顔」をイメージしていただければと考えています。ぜひ、お子様と一緒に笑顔で過ごせる時間を大切にしてあげてください。私も校舎で「笑顔」を絶やさないように心がけてまいります。
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