『「もとになる量」と「比べる量」 ~割合の学習~』
2020.12.02
小学4年生の算数カリキュラムでは、「割合」の学習に入りました。「割合」は将来的に「比」の学習につながっていき、中学受験では一番といってもよいくらい大切な考え方です。初めて学習をするこのタイミングで、しっかりと身に付けておく必要があります。
「水が氷になるとき体積は11分の1増えることになります。では、氷が溶けて水になるときには、体積は何分のいくつ減るでしょう」
保護者の皆様はパッと答えることができるでしょうか。これは割合の古典的な問題です。「11分の1増えるなら、減るのも11分の1でしょ」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、もちろん答えは違います。
割合の導入では、「もとになる量」と「くらべる量」という二つの要素が出てきます。実はこれらの考え方は学年が上がるにつれて、「なんとなく」理解できるようにもなってくるのですが、最初にしっかりと身に付けておかないと思わぬところで間違えてしまうことがあります。さらに、そのことで算数そのものが苦手になってしまうケースもあるのです。
「400人の学校があります。そのうち女子生徒は240人います。女子生徒の割合を求めなさい」という問題であれば、「もとの量」は全校生徒の400人、「くらべる量」は240人、とわかりやすいはずです。計算としては「240÷400」となりますので、答えは「5分の3」と出てきます(紙面上では分数の表記が難しいので、ご容赦ください……)。
水と氷の問題にもどりましょう。わかりやすいように11Lの水があることにします。水から氷になるときは、水が「もとの量」となりますので、その11分の1にあたる1Lが増えることになります。つまり氷は12Lとなるわけです。もちろん氷から水になるときも同じ量である1Lが減ることになるのですが、ここで問題になるのは、「もとの量」です。氷から水になるのですから、この時点で「もとの量」は氷と考えなければならなくなります。氷の体積は12Lですから、減る量が1Lだとすると、その割合は12分の1となるわけです。これが正解となります。
「ある学校の今年の生徒数は200名です。これは昨年よりも3分の1増えた数字です。昨年の生徒数は何人ですか」という問題も、「もとの量」と「くらべる量」を間違えやすい問題です。理解が不十分だと、今年の生徒数である200名を「もとの量」として考えてしまう場合があるでしょう。「カリキュラムテスト」や12月の「組分けテスト」でも出題される可能性のある問題ですので、もしよろしければお子様と考えてみてください。正解は「150名」です。
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