『Rudolph The Red-Nosed Reindeer』
2020.12.04
12月に入りました。今年も残すところあと一カ月となり、「師走」「年末年始」という言葉をテレビなどでも多く聞く時期になりました。今年は新型コロナウイルスの影響下での年末年始となり、例年とは違う過ごし方が求められていますが、年の瀬のせわしなさや、新年へ向けた想いなどは変わらないのではないでしょうか。例年と比べると規模は大きくないですが、クリスマスやお正月のイベントも実施されるところもあるようですし、楽しみにしているお子様もいらっしゃることでしょう。ただ、今年は自宅で過ごされる方も多いと思います。
クリスマスにおうちでお子様とご一緒に楽しめるお話をご紹介します。有名な『赤鼻のトナカイ』のお話です。
もともと1800年代に始まったサンタクロースがソリに乗ってやってくるという話では、ソリをひいているトナカイは8頭で、ちゃんと名前も、並んでいる順番も決まっていたそうです。1900年代になって、そこにルドルフ(Rudolph)という仲間が9頭目として加わりました。私自身、昔どこかで聞いた話なので、うろ覚えの部分もありますが、ルドルフのお話をご紹介させていただきます。有名な話なので、ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが。
アメリカ人の会社員ロバートには4歳になる娘がいました。クリスマスをひと月後に控えたある日、娘がこう聞いてきたのです。
「どうしてうちはみんなと違うの?」 ロバートの妻は重い病気で入院していて、家に帰ってくることはなかったそうです。治療費がかさんでいることもあり、裕福とはいえない暮らしぶりの中で、娘が何を指して「みんなと違うの」と聞いているのかはわからなかったのですが、その質問への答えとして、ひとつのお話を即興でつくって娘に話して聞かせたのが『赤鼻のトナカイ』のお話だったそうです。「みんなとは違う」赤い鼻を持っているルドルフというトナカイ……。 娘はその話を気に入って、毎晩彼にその話をせがむようになりました。娘へのクリスマスプレゼントを買う余裕もないロバートは、そのお話を自分で絵本にして渡そうとつくり始めました。
その年のクリスマスの直前に、懸命の治療の甲斐なくロバートの妻はこの世を去ったそうです。毎年行われる職場のクリスマスパーティー。妻の死に意気消沈しているロバートはパーティーを楽しむような気分ではなかったのですが、半分仕事の場でもあり、仕方なく参加していました。その中で、一人ひとりが場を盛り上げるためにステージに上がることになったそうです。歌を歌ったり、ジョークを披露したりする同僚たちの中、ロバートは全くそんな気分にはなれずにいました。
ロバートの順番がきました。ロバートは、皆に謝って許してもらおうとステージに上がりました。そんなとき、ふとポケットに入っている絵本の原稿を思い出しました。ロバートは、静かにその原稿の朗読を始めました。 最初は場違いとも思えるような朗読に驚いていたパーティーの参加者たちは、次第にその話にひきこまれ、終わると同時に大きな拍手が起こったそうです。
クリスマスにちなんだ伝説のひとつかもしれませんが、いいお話だと思いました。子どもたちはロバートの娘のように、人と違うことを気にすることがあります。算数の問題を解くスピードの遅さや、がんばってもなかなか覚えられない漢字など。それぞれの成長過程や性格の違いなどから、できること、できないことは違います。「みんなができていることだから、自分もがんばろう!」という気持ちを持つことは、とても大切なことです。ただ、それが「みんなができているのに自分だけできない」という劣等感やコンプレックスにならないように、この『赤鼻のトナカイ』のお話は教えてくれているような気がします。
よろしければ、クリスマスの日にお子様にも教えてあげてください。
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