『おでんとGoogle』
2021.02.10
今週から早稲田アカデミー各校舎では、新年度がスタートしています。毎年、新小4の生徒たちには、「2月からみんなは小4になっているんだから、クラスの掲示も小4のところを見るんだよ」と話しているのですが、やはりまだまだ慣れない生徒もいるようです。
さて、「おでん」についてです。おでんの具には私が好きなものが多いのですが、「大根」はベスト3に入ります。ただ、つくった当日よりも、味が染みた二日目の方が好きなのですが……。
「おでんに入れる輪切りの大根」と「豚汁に入れるイチョウ切りの大根」の図を出題していたのが、都立小石川中等教育学校の適性検査Ⅲの大問[1]です。その二つの図について、「イチョウ切りの方が味がしみる時間が短くなる理由」「おでんの大根に味がしみやすくする工夫」「その工夫によって味がしみやすくなることを確かめるための実験方法」といった内容の記述問題が出されました。その問題は、イヌの体重と表面積に関しての問題につながっていき、最後の設問は「氷や食品以外のあなたの身の回りにあるもので、表面の面積を変えることで効率が良くなる工夫をひとつ挙げなさい」というものでした。
「おでんの大根」から表面積を考えさせる問題となっていたわけです。
GLAT(Google Labs Aptitude Test)というものを以前見たことがあります。「Google研究所適性テスト」として公開されていたものです。数年前に、Google社の入社試験問題が面白いという話を聞いて調べていたときに見つけました。その中に次のような問題があります。 1 11 21 1211 111221 ( ) 6段目に入る数字の列を答えなさい、という問題です。 いかがでしょうか、規則が見つかりましたでしょうか。上にある数字の「個数+その数」を下の列に書くという規則になっているのです。たとえば「8」という数字を「1個の8」と言葉で表して、その順に記載をすると「18」となります。この規則で考えてみてください。
上の問題の5段目には「111221」となっていますので、「3個の1+2個の2+1個の1」となりますので、答えは「312211」となるわけです。
実は、この問題とまったく同じ規則を出題していたのが、上でご紹介した都立小石川中等教育学校の適性検査Ⅲの大問[2]なのです。入試問題では適性検査の例にもれず、先生と生徒の会話形式でこの規則が紹介されていきます。そしてこの規則にしたがっていろいろと考えていったときにどうなるのか、という設問が続くのです。[問題1]では、この規則を1ケタの整数に何回か当てはめて出てきた、56ケタの整数「311311222…(省略)…23222112」が示され、もとの1ケタの整数を答えさせる問題が出題されました。さらにその「理由」も求められていました。もちろん、問題には(省略)とした数字もすべて書いてありますが、そこはなくても解ける問題です。そして「理由」も比較的簡単に記述できます。
さらに問題は続き、[問題2]では2ケタの整数にあてはめた場合、4ケタの整数にあてはめた場合を考えさせる問題が出てきます。そして[問題3]では「この規則を1から始めて繰り返した場合には、4という数字が現れない理由」が問われていました。上記に紹介したGLATの問題を数段階発展させた、かなり難度の高い問題だと思います。
公立中高一貫校の「適性検査」だからということもできるのですが、私立中も含めて、「その場で考える問題」「身近なものから考える問題」「自分の考えを書かせる問題」といった、高度な「思考力・判断力・表現力」が必要な問題が増えてきている印象です。
単に「解き方を覚える、それを適用し、正確に処理をする」というだけではなく、「書かれていることをしっかりと理解し、それに沿ってその場で考える」という思考方法を育てていくことが大切だということを改めて感じています。
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