『お子様との会話② ~夏のコミュニケーション~』
2021.07.21
先日から校舎で実施させていただいている「個別面談」では、塾以外の夏のご予定などもうかがっています。その中で「ちょっと出かけるつもりなのですが、なるべく家族以外との接触は避けるようにして……」といったお話をうかがうことが多くありました。「せっかくの夏休みではあるけれど、やはり感染症の状況が心配で……」とお話しいただいていたお母様のお言葉が印象に残っています。
そんな夏休みですから、お子様と過ごす時間も多くなることと思います。前回の記事の続きとして、夏に、普段とは少し違った「親子の会話」をしていただくためのヒントをご紹介します。
毎日の生活に関する会話は、ご家庭でもよく交わされていることでしょう。学校や塾であったことなどを、お子様から話をしてくれたり、お父様やお母様からお聞きになられたり、といった感じの会話です。今回ご紹介するのは、それとは少し違った「テーマを決めた会話」です。お子様の「考える力」を伸ばすことにもつながりますし、お子様の意外な一面にも気が付くことができるかもしれません。
ひとつ目は「自分や家族を〇〇にたとえると(〇〇であらわすと)」というテーマです。これは比較的低学年からでもできる会話になります。簡単なところでいえば「動物」になります。これはいろいろなところでよく使われるテーマですから、お子様も一度は考えたことがあるかもしれません。「植物」になると、少し考えるのは難しくなってきます。さらに「お菓子」や「文房具」「台所にあるもの」なども面白いテーマになります。テーマをふくらませていくためには、自分(子ども)だけではなく、家族全員のことを考えさせるという点がポイントになります。「文房具」「台所にあるもの」などを考えるときには、そこに家族としてのストーリーが生まれるかもしれません。もちろん、単に「お父さんを動物にたとえるとなに?」「うーん、象!」というだけではなく、「どうしてそう思うの?」という問いが必要になることは言うまでもありません。そこで出てくる答えから、お子様がご家族をどう感じているのかという新しい発見もあることでしょう。
以前、この方法をご紹介した際にご家庭でやってくださった方がいらっしゃいました。「先生、『色』にたとえさせるのもおもしろかったですよ」と教えてくださいました。ぜひ、試していただければと思います。
二つ目は「お子様とのディベート」です。アクティブラーニングなどではよく扱われる手法ですので、ご存じの方も多いことでしょう。正解のない二つの対立する問題で、お互いに別の立場で「議論」を交わすという方法です。親子で実施する場合、最初はお子様に答えを選ばせて、親は違う立場で議論を交わすのがよいでしょう。
小学生にとって興味が持てそうなディベートテーマとしていくつか挙げておきます。
「小学校は給食とお弁当のどちらがよいか」 「スマートフォンとタブレットのどちらがほしいか」 「男女校と共学校のどちらがよいか」(すでに結論が出ているご家庭もあるかもしれませんが) 「理科と社会はどちらが日常生活に役に立つか」 「厳しい先生と優しい先生のどちらがよいか」 「ドラえもんは生物か生物ではないか」 「お金と時間のどちらが大切か」などなど
ドラえもんの問題は、以前麻布中の理科で出題されたことがあります。その際は「ドラえもんがどんなに優れた技術でつくられていたとしても、生物として認められることはありません。その理由を答えなさい」という設問でした。もちろん理科的(生物学的)に見れば、生物とはいえないでしょう。特にこの問題では、問題文の中に生物を定義づけている部分があり、その中に「成長・生殖」という表現があります。ロボットであるドラえもんは、生殖機能を持っていないために生物とは認められない、という解答を書いた生徒が多かったようです。
一方で、もう少し違った視点に立てば、生物として考えることもできるように思っています。お子様の回答として考えられそうなのが、「のび太くんの友達だから」というような表現でしょうか。「友達になるのは生きているもの」というような前提からのスタートになりそうです。最終的には「人間と意思の疎通ができる」「感情がある」というようなところが「生物である」という主張の論拠になりそうな気がします。小学生の学習で考えれば「国語的(文学的)発想」といえるかもしれません。
この会話のポイントは「お子様が真剣に考える」というところにあります。そのためにも親は真剣になって話をし続けてください。一方で、お子様の考えですから、そこには「つっこみやすい」部分も多くあるはずですが、「言い聞かせる」という方向ではなく、「お子様の考えをうまく引き出す」というスタイルで進めていただければと思います。負けん気の強いお子様は、うまくのせてあげるとどんどん意見を言ってくれると思います。
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