『通学時間』
2021.10.01
学校選びの基準としてはいくつかの要素があります。「校風・教育理念」といった学校の本質につながる部分から、「大学進学実績」「男子校・女子校・共学校」「興味のあるクラブ活動の有無」「制服」などなど、ご家庭やお子様によって何をポイントにするかは異なるでしょう。「費用」や「防災対策・安全対策」といった視点も必要になってくるはずです。その中で、どのご家庭にとっても外せない要素に「通学時間」があります。
どんなに気に入った学校であったとしても、ご自宅からの距離が離れすぎていて、通学に時間がかかり過ぎる場合は、現実的に通学は難しくなってしまいます。中学入試では、女子校を中心に出願資格に制限が設けられているところがあります。その場合は、自宅から学校までで「90分」という基準が一般的です。
また、通い始めてみると、想像以上に負担が大きくて「転居」を決断したというお話も伺ったことがあります。単に「通学時間の長さ」だけではなく、毎日の荷物の量(重さ)が大変だった、部活の朝練のために早く起きるのが大変だった、お弁当を朝早くにつくることになるお母様も大変だった、というさまざまな点から、お父様を説得なさったというお話でした。
中学校へ進学してから校舎に遊びに来てくれる生徒たちがいます。「部活動は何を始めた?」「科目で大変なのは何?」「定期テストの結果はどうだった?」など、時間があればいろいろな話をするのですが、その中で「通学時間に何をしている?」ということもよく尋ねるようにしています。
以前、担当していたクラスの生徒が連れ立って遊びにきてくれたときに「通学時間に何をしているの」と聞いてみたところ……。
①「だいたい寝ている、寝ていないときは音楽を聴いている」→女子 ②「テスト前は勉強している、本を読んでいることも多い」→男子 ③「週に2回~3回は友達と待ち合わせて、おしゃべりしながら」→女子 ④「(学校とは別の)英語の勉強をしている」→男子 ⑤「ボーっとしながら、考え事をしている(文芸部で書いている小説のことを)」→女子 ⑥「自転車をこいでいる」→男子
こんな回答が返ってきました。少し前の話なのですが、生徒の顔を思い出すと(通っている学校も知っているので)「こんなことを言っていたなぁ」という記憶が戻ってきました。
「スマホを見ている」という答えも予測していたのですが、「電車の中でスマホを使うのは禁止」という校則の学校もあり、また親と約束しているという生徒もいて、スマホという答えは返ってきませんでした。
片道40分としても、往復で1時間20分、その時間を6年間費やすわけですから、それなりに有意義な時間にすることが必要だと考えています。「学校選び」の段階でお考えいただくことも必要ですが、実際に通学を始めたときには、電車の中でどんな風に過ごすかといった点などもお話しいただくとよいと思います。
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