『半年前のテキストを使って、読解力を伸ばす』
2018.09.12
7月に実施した『クローバーセミナー』終了後に、小学4年生(男子)のお母様から「国語の成績がなかなか上がらなくて……」というご相談を受けました。最近、国語の学習方法などについてはあまり書いておりませんでしたので、今回は「読解力」を高めるための学習方法のヒントをご紹介させていただきます。
そもそも、本質的な「読解力」と、国語の問題を解くときに必要な「読解力」は少し違います。本当の意味での「読解力」は「ある程度長い文章(本)を読む力」ということになりますが、国語の学習で求められるのは、「出題されている部分をしっかりと読みこなす力」です。ただし、違いがあるとはいえその根底は同じものですから、国語の学習を進めることで本質的な「読解力」も向上していくはずです。
さて、四谷大塚のテキスト(予習シリーズ)でも、それ以外の教材でも、中学受験に向けた学習で取り組む国語教材の文章は、その学年の精神的な成長段階よりもレベルの高いものがほとんどです。つまり、日ごろの読書などでは目にしないような文章を読むことになるわけです。受験に向けた学習経験を積んでいる生徒や精神的な成長が早い生徒であれば、文章の内容をある程度まで理解することができますが、そうでない場合は難しいと思います。しかし、そこには設問(問1、問2……)がついていますので、文意全体の理解ができていなくても、解かなければなりません。その結果、「文章を読む(=文意を理解する)」ということよりも、「問題を解く」という作業に懸命に取り組むことになってしまいます。文意がわからなくても、なんとなく解ける問題もあります(細部に関する問題、接続語とか指示語とか……)。しかし、そういった解き方をしているだけでは、国語の得点は伸びていきませんし、得点にムラも出てきてしまいます。
今回の「読解力向上」のためのアドバイスは、まず「読む」ことができるようにするためのものです。もっとわかりやすく言えば、「読む」ということは「書かれている内容をしっかりと頭に入れる」ということである、とご理解いただくためのものになります。
前述したように、いま使用している教材は、現時点の成長段階の一段階上のものなっていますから、それを読解が苦手なお子様に読ませてもきちんと理解するのは難しいはずです。そこで「読ませるための教材」として用意するのは、半年から一年前のテキストがよいでしょう。いまの時点(9月)であれば、予習シリーズの上巻か、もしくは前学年の下巻あたりがよいと思います。できれば、一番真剣に「読んだ」はずのマンスリーテストやYT講座などのテスト問題がよいのですが……。
すでに一回学習している文章なのですが、あえてそれを読ませるわけです。教材には設問がついていますので、「せっかくだから問題も解かせてみようかしら……」と思われる保護者の方のお気持ちも分かりますが、それはなるべくやらない方がよいでしょう。問題に手をつけさせてしまうと、「解くために読む」ということにお子様の意識が向いてしまいます。そうならないためにもお子様が「読む」という作業に集中できるようにしてあげてください。小3~小4であれば、読み終わった後に、「どのようなことが書かれていたか」を聞いてあげるのも効果的です。「読む力」というのは、スポーツの基礎トレーニングと同じように反復訓練を必要としますので、できれば毎日、難しい場合は隔日で実施されるとよいでしょう。寝る前にベッドに入ってからでもかまいません。「勉強」というよりも「読書」というような感覚で毎日の生活習慣の中に入れてしまうことをお勧めします。
やっていただければわかるのですが、半年(一年)前に苦労していた文章がすっと頭に入ってくるはずです。お子様にとっても「しっかり読めた」という感触を得ることができますし、保護者の皆様にとっても、お子様の半年間での成長を感じることができるはずです。
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